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研究成果
NRIグループの研究成果を発信します
(2008年5月掲載)
研究開発 アジアナビゲーター2007 〜中国の近未来〜
<目的>
 本研究「アジアナビゲーター2007」は、拡大するグローバル経済の中で、特に、日本企業の成長戦略の鍵を握るエマージング地域にフォーカスした骨太提案を行うことを狙いとしています。この研究は、2006年に実施した「2010年のアジアの展望と日本企業の戦略」(2006年12月『2010年のアジア―次世代の成長シナリオ』として出版)の後を受けたものであり、「中国の近未来」、「東南アジアの金融制度改革」、「躍進するロシア経済と日本企業の事業機会」の3つのパートからなります。ここでは「中国の近未来」についてご紹介します。
 中国はこれまで30年間続いてきた「搶ャ平・改革開放路線」の副作用としてのひずみの抜本的見直しという国家建設上の重大な転換期にあります。そして、この時期に続く2010年代の中国の国家戦略(和諧社会建設)を解明し、中国の近未来への見通しを確立することを目的に本研究に取り組みました。
 主な分析の視点は、(1)社会主義的和諧社会に向けた国家戦略、(2)法治国家建設に向けた課題と対策、(3)ポスト高成長時代の金融財政制度改革、(4)厳しさを増す環境下での外貨・通商政策、(5)和諧社会の都市産業発展戦略、(6)有識者が語るこれからの日中関係、(7)和諧社会に向けた中国の戦略と日本企業の課題、です。

<要約>
好調な経済と潜在するリスク
中国では1978年以来の改革開放政策により、経済体制は計画経済から社会主義市場経済へ転換、その結果、経済建設という面では大きな成功を収めている。特に2001年末のWTO加盟前後を境とした経済成長のスピードは目覚しい。一方、2つの格差、すなわち地域間の経済格差と都市の中での社会階層間の経済格差、環境汚染問題、未熟な法治社会と汚職や腐敗の広がり、外需に過度に依存した経済成長、実体経済の成長に追いつけず近代化が遅れる金融システム、連携なき都市戦略がもたらす不効率などの問題は、いずれも、この30年間で進めてきた経済成長一辺倒の負の側面であり、構造的であるために容易な解決が難しい問題である。これらの問題にどう対処し、中国の社会経済の次の国家目標をどう導こうとしているのか、またそれらは従来型の漸進的アプローチで解決が可能なのか、胡錦濤政権に課せられている課題は極めて重いものである。

科学的発展観と社会主義和諧社会
2006年、胡錦濤政権は「経済建設優先」の国家戦略を継ぐものとして「和諧社会」を次の国家ビジョンとして正式に打ち出した。「和」とは和睦、心を合わせて助け合うことを意味し、「諧」とは協調、衝突が無いことを意味する。胡錦濤国家主席は、和諧社会を実現する上での戦略を、経済建設、社会建設、文化建設の3つの観点から語ることが多い。われわれは、さらにそれを細分化し、和諧社会のフレームワークを12の基本項目に構造化して概説することを試みた。

政策転換が外資企業に及ぼす影響
改革開放から約30年間、対外経済部門が中国経済の牽引車として大きな役割を果たしてきたが、プラスの面と同時にマイナスの面の影響が顕著となってきており、その役割も転換期を迎えようとしている。ここでは、将来の国家像を変わる中国(外資選別と経済ナショナリズムの高まり、など)、変わらない中国(高成長と消費ブーム、など)という観点でのとりまとめを行った。例えば、これからの外資政策では、投資の内容をよく管理し、必要でない投資と必要な投資を選別する傾向が強まることが予想される。これから奨励される外資企業とは、大型で技術やノウハウを持ち、研究開発を中国内で行い、新しいビジネスモデルを中国に持ち込んでくれる企業であって、外資ならば誰でもいいとい時代はもう終わりを告げている。いずれにしても、外資企業への優遇政策は2008年から大きく反転することになる。

(プロジェクト実施期間:2007年5月〜2008年3月)

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執筆者情報(2008年3月末現在)
氏名: 此本 臣吾
執行役員・コンサルティング事業本部副本部長

中国の近未来プロジェクトチーム(コンサルティング事業本部)
   
なお、本研究成果については、『2015年の中国』東洋経済新報社、2008年2月 「日中新時代をめぐる動き」および「中国の目指す新国家像としての『社会主義和諧社会』」『知的資産創造』2007年9月号に掲載しておりますので、ご参照ください。
 
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