NRI 未来創発
 
野村総合研究所
TOP サイトマップ English
 
2010年、日本の未来を提案します。 2010年、日本の未来を提案します。
2010年の複眼予測
第1回:2010年、大転換期の日本
山田 澤明
NRI 執行役員
× 沢田 ミツル
NRI 常務執行役員
バリアフリーなネット社会が個人の創造性を発揮させる
 
野村総合研究所(NRI)では、2010年、さらにはその先の日本の社会・産業のあり方について提言していく「2010年、日本の未来を提案します。」プロジェクトを実施しています。その一環として、NRIの専門家が対談形式で2010年への提言を発信していきます。初回は、日本が転換期を乗り越えるためのポイントについて語っています。

■ 現場の臨場感喪失と若者に漂う目標不在感
沢田:最近、企業経営の現場から、臨場感や現実感が失われているように思います。例えば、インターネットによって職場を行き交う情報量は格段に増えたのに、オフィスは静まりかえり、キーボードを打つ音ばかりが響いている。ミドルマネージャーは現場で何が起きているのかわからなくなって、あちこちの企業でミドルマネジメント危機が起きていると聞きます。

山田:団塊世代が退いた後の、次の時代を担う人たちの仕事に対する意欲が、従来とは違ってきています。NRIが上場企業の20代〜30代の正社員に調査したところ、実に75%が多かれ少なかれ現在の仕事に無気力感を感じています。フリーターやニートといった定職に就かない人たちだけでなく、正社員も含めた若い世代全般に目標不在感が漂っている。それが職場の活力低下にも響いているのでしょう。

沢田:いろいろな意味で日本は今、転換期に来ていますね。戦後50年間一貫して続いてきた経済活動のあり方は、「失われた10年」を契機に大きな転換を迫られ、これからの時代に合う社会の仕組み、経営のあり方が求められています。
政治では、55年体制崩壊という変わり目を迎え、今後、国家として新たなビジョンを打ち出していかなければならない。

沢田 ミツル NRI常務執行役員
沢田 ミツル
NRI 常務執行役員
ITマネジメントの改善、営業システム改善などを専門領域とし、企業のIT利活用を支援している。情報技術を支える人間系施策や教育問題などが最近の関心事。
山田:中国をはじめとするアジア諸国が成長する一方、日本の国際競争力は低下している。もはや経済大国などとはいっていられない。新たなアイデンティティを確立できなければ、日本の存在価値はなくなってしまうでしょう。

■ ITがもたらしたゆとり、ゆらぎ、ゆがみ
山田 澤明 NRI執行役員
山田 澤明
NRI 執行役員
エネルギー戦略、技術開発戦略、経営ビジョン策定など、社会と人、人と技術という観点から、幅広い業務に携わる。最近の関心分野は人と組織の活性化。
沢田:ITの面では、1956年に我が国初の電子計算機が誕生以来、ビジネスに使われ始めて50年がたっています。今日ITは、効率化や省力化という“ゆとり”と、ビジネスのボーダレス化やスピード化という“ゆらぎ”を生み出した。同時に職場の臨場感喪失といった“ゆがみ”も生じさせている。この“ゆがみ”を乗り越えていくために「人間技術」ともいうべき、ITと人とのかかわり方に関する技術が必要になってきていると思います。

山田:「人間技術」とは、平たくいえばコミュニケーション能力でしょう。人はコミュニケーションがはかれると楽しくなり活気づくものですが、情報化社会といわれ、コミュニケーションの重要性がますます高まってきているのに、最近それが下手な人が増えている気がしてなりません。

沢田:日本には従来から、地縁、血縁、学校での“学縁”、職場における“職縁”といった人間関係がありました。それらは今後、ユビキタスネット社会に移行していく中で崩れていき、ネットワークを通じた新たな人間関係のあり方、コミュニティのつくり方が標榜されていくのではないかと思います。

山田:例えば、リタイア後にネットを介して仲間たちと起業しようとする団塊世代の動きがあります。今後の知識情報化社会では、ITはうまく活用できればコラボレーションを促進し、一般に考える以上に新たな価値を創造するインフラになっていくと思います。

■ 個を自立させる教育と団塊世代の起業家資質
沢田:「職場」という概念も変わっていくでしょうね。例えば、従来の会社組織の形態から、プロジェクト単位でネット連携した人たちのコミュニティが「職場」になっていくのではないか。そんなコミュニティが増えていけば、「現場で何が起きているか分からない」経営にならないよう、それらをマネジメントする上位概念の仕組みも必要になる。企業経営のあり方も変わっていかなければなりません。

山田:それは例えば、働く人たちの個を大切にする経営のあり方だったりするのでしょう。ITが新しい価値を創造するといいましたが、自主性のないところに創造性などはあり得ない。社員の自主性を高めていく経営が、今後一層、大切になるのだと思います。

沢田:そういう意味では、個々人を見つめていく、あるいは一人ぼっちにさせない“バリアフリー”な仕組みが企業にも社会にも必要なのだと思います。日本を覆う閉塞感や活力低下といったことも、個人のレベルで見ていかないと。いずれにしてもネット社会の新しい仕組みができれば、日本が転換期を乗り越え、新しい社会を生み出していく支えになると思います。

山田:一人一人は、もっと自立した、起業家的な資質を持つ必要がありますね。

沢田:それには教育改革が避けられない。最近、自己責任などといわれているけれど、それまで個性や個人を否定された教育を受けてきた子どもたちに、社会に出たらいきなり自立しろ、というのは無理な話です。

山田:私は団塊世代に期待したいと思っています。2007年から団塊世代の大量リタイアが始まりますが、NRIの調査ではこの世代の78%が、定年後も働きたいと望んでいる。起業を志向する人も1割以上いて、好きなことをして社会の役に立ちたいと夢を持っている。会社から離れ、自分なりの価値観、ライフスタイルで過ごそうとする彼らの姿勢は、次世代が新たな価値観や目標を抱く上で、プラスに影響するのではないかと思います。ですから団塊世代は定年延長など考えず、自分の好きなことにどんどんチャレンジしてほしいと思います。


団塊世代が仕事を続けたい理由
「複眼予測」を読んだ感想をお聞かせ下さい。
●今回の「複眼予測」を読んでおもしろかった
  そう思う   そう思わない   どちらとも言えない
 
●今回の「複眼予測」の感想をご自由にお書きください。
 
 
●NRIが2010年の日本のあり方を予測・提言することについて
  意義があると思う   意義はないと思う   どちらとも言えない
 
●NRIは「2010年の日本」のどのような内容について予測・提言すべきか、ご自由にお書きください。
 
 
●あなたが考える「2010年の日本」について、ご自由にお書きください。
 
 
●あなたについて、お答え下さい
  年齢
 
  性別  
 
  職業
 
 
page top