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経営用語の基礎知識
経営用語の基礎知識(第3版)

多面評価制度 Multi-rater Evaluations

人材育成や評価の公正性・客観性の確保のために、上司だけでなく、部下や同僚など多方面より評価を行う制度。

 通常、人事評価は直属の上司が行いますが、上司以外にも、部下や同僚、仕事で関係のある他部門の担当者、あるいは顧客など多方面から評価を行うものが多面評価制度です。

周囲からの“360度評価”
 周囲のあらゆる方向からの評価であるため、360度評価ともいわれます。評価者を上位者や同僚に限る場合は、180度評価と呼ぶこともあります。
 多面評価の実施方法は様々です。被評価者1人に対して評価者が2人の場合もあれば、10人を超える場合もあります。評価者を一定数とする場合もあれば、所属等級や仕事内容、所属組織の規模等に応じて評価者数が増減する場合もあります。誰を評価者にするかについても、被評価者が指名するケース、人事部が決定して被評価者には知らせないケースなどがあります。評価指標も、能力、情意指標を中心とする場合や、コンピテンシーに基づくものなど、会社により様々です。
 いずれにしても、短期的な業績の評価ではなく、行動評価・人物評価に用いられることが一般的です。

「気づきの促し」への活用が中心
 客観性の確保のために評価者を増やす一方で、評価者が増えるほど評価基準を合わせることが難しくなります。また、特に部下など、必ずしも評価者全員が十分な評価能力を持ちえない場合もあります。このため、多面評価の結果は、昇進昇格や処遇にそのまま反映させるというよりも「重要な参考情報」と位置づけている企業も少なくありません。
 多面評価結果が最も活用されているのは、人材育成の場面です。いろいろな立場・観点からの評価結果を被評価者にフィードバックすることで、本人、場合によっては直属上司ですら気づかない「気づき」を与えることができる可能性があるからです。
 多面評価の実施には、評価者の評価能力のばらつきに加え、手間がかかる、フィードバックが難しいなどの課題もありますが、被評価者のみならず周囲からの納得性をも高める手段として、少なからずの企業が関心を持っています。運用の工夫が進めば、多くの企業での導入が進むものと思われます。(笹目由紀子)


(書籍発行:2008年4月)
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