技能伝承 Skill Transfer
企業の中で熟練者が培ってきた技術やノウハウを、世代や地域を超えて伝えること。
経営戦略上で語られる技能伝承とは、企業内の個々の熟練者が培ってきた技術やノウハウを世代や地域を超えて伝えることです。
一般的に、熟練技能者が身に付けている技能は、経験に裏打ちされた勘や直感といった、いわゆる「暗黙知」として個人の中に蓄えられています。日本の製造業、特に加工・組み立て・設計の分野では、これを企業の資産として残し、展開していくことが重要となっています。
技能伝承の成功要因
技能伝承の取り組みで成功している企業の特徴としては、以下の4点があげられます。
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経営トップや技術部門が技能伝承への危機意識が強く、取組方針やビジョンが打ち出されている。 |
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技能伝承を主導する組織や人材が明確にされている。 |
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伝承すべき技能を引き出すための対話(技術部会)や熟練技能者を認定する制度(マイスター制度)、技能伝承する場(技能塾)の提供など、技能伝承を円滑化するための仕組みがある。 |
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技能伝承を効率的に進めるため、技術・ノウハウデータベースやマニュアル、ビデオ教材といったツールが整備されている。 |
技能伝承の課題
企業の現場では、暗黙知となって分散している技能をいかに体系化し、効果的かつ効率的に伝えるかが課題となっています。個々の熟練者が直接指導するOJT教育だけでは、伝承すべき技能にバラツキが生じるからです。例えば、トヨタの「グローバル生産推進センター(GPC)」では、製造現場における熟練者の知識や技能を体系化し、さらにVMビジュアルマニュアル)として視覚化し、海外も含めた各拠点の人材を集めて研修を実施することで育成の効率化を図っています。
また、団塊世代の大量退職による「2007年問題」では、指導する側の熟練者が一斉に辞めてしまうために、その世代が培ってきた技能が失われてしまうといった問題も起こっています。この問題に対しては、必要な人材の雇用延長や嘱託による再雇用を行い、指導者として活用するといったことが行われています。(臼田慎輔)
(書籍発行:2008年4月) |