複線型人事制度 Multi-Career Ladder System
多様な志向の社員が自分のライフスタイルに適った働き方を選択できるように、企業内に複数のキャリアコースを設けた人事制度。
複線型人事制度とは、従来の一律的な人事制度ではなく、職群、職種、勤務地域といった区分で設計された人事制度をいいます。
職群・職種・勤務範囲等で区分
少子高齢化、企業競争が激化するなか、企業の人材採用競争も激化しています。一方、働き手側ではライフスタイルの多様化が進み、自分のライフスタイルに適った仕事をしたい社員が増加しています。そのため、企業では様々な志向を持つ人材に活躍の場をコースとして提供できるよう、コースの区分に応じた複線型の人事制度を持つようになりました。
職群による区分では、管理職を、組織管理を担う組織職群と、特定専門領域での貢献を担う専門職群とに分けます。一方、非管理職は、企画型の仕事に従事する総合職群と、比較的反復定型的な仕事に従事する一般職群とに分けられます。
職種による区分では一般に、成果主義型の営業職、能力主義型の製造職、他に研究開発職、スタッフ職に分けるケースが多くなっています。
勤務地の範囲による区分では、地域限定社員、複数地域からなるブロック内の転勤社員、全国転勤社員、グローバル(海外転勤)社員に区分します。そして地域の生計格差や、転勤に伴う負荷やリスクを考慮した処遇を設定しています。
また近年、高齢社員の第二の人生に配慮して再雇用に当たり、通常勤務のほかに短縮勤務形態コースや退職後に業務委託契約するといったコースを設定する企業も増えています。
ルールの開示と適切な運用がカギ
コース選択は入社時だけでなく、ライフステージに応じたキャリア開発ができるよう、一般には自己申告や社内公募制を通じて入社後も条件付きでコース転換ができるようになっています。
複線型人事制度を導入する場合、同じ職場に複数のコース社員が同居することに伴う課題への対応が必要です。賃金格差の理由が不透明だと、社員間にモラルダウンを引き起こす懸念があります。コース別の人事制度の内容を明確に社内に開示し、それに則った適切な運用が行われることが重要です。(正岡幸伸)
(書籍発行:2008年4月) |