学習する組織 Learning Organization
組織構成員がビジョンを共有しながら、行動と学習を自発的に繰り返すことで、組織全体の能力が高まっていく組織。
「学習する組織」の初期提唱者であるハーバード大学のクリス・アージリスは、組織的な学習に着目し、構成員が所与の課題について対処するのではなく、状況に対応して、自分たちが持っている課題に対する前提や仮説を修正していく学習が競争優位を生み出すことを示しました。
5つの学習領域
組織的な学習の実施手法について、「学習する組織」として体系化したのがMITのピーター・センゲです。センゲは「学習する組織」について、「あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を活かすすべを見出した組織」であると述べています。その上で、実現するための方法論として5つのディシプリン(学習領域)を提示しました。
(1)「自己マスタリー」とは、自己の人生におけるビジョンと現状の差を明確に認識することで、継続的に自己の能力向上に取り組むことです。(2)「メンタルモデルの克服」とは、個々人の心に固定化されたイメージや概念を明示的に捉え、検証・改善していくことです。(3)「共有ビジョンの構築」とは、将来の姿を構成員全員で共有することです。(4)「チーム学習」とは、意見交換やディスカッションにより、共同してチームの能力を向上させていくことです。(5)「システム思考」とは、あらゆる物事・事象を相互関係で捉えることで、一連のシステムとして理解する考え方です。
「システム思考」は、(1)〜(4)のディシプリンを統合し、個々の課題ではなく、全体の構造を理解し、それに働きかけるフレームを提供してくれます。
新しいU理論
近年、従来のトップダウン型の組織変革手法が行き詰まりを見せる中、「学習する組織」への関心が高まっています。センゲは最近の著書『出現する未来』の中で、MITの同僚であるオットー・シャーマーらとU理論を発表しました。これは組織が学習を続けながら、ありたい未来を実現するためのステップをより明確に示したものであると同時に、仏教思想など、これまでの経営学ではあまり取り扱われなかった考え方を統合した、ユニークな理論として注目を集めています。(森平幹男)
(書籍発行:2008年4月) |