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経営用語の基礎知識
経営用語の基礎知識(第3版)

デスバレー Valley of Death

基礎研究の成果が、製品化や事業化に結びつかない現象。日本語でいえば「死の谷」。この谷の克服に向けた研究開発マネジメントが求められている。

 “デスバレー”はマーケティングにおいて“キャズム”という用語で利用されることがありますが、ここでは、研究開発についての“デスバレー”について説明します。
 たとえ優れた研究成果であっても、それが即座に製品・事業化に結びつくわけではなく、陽の目を見ずにお蔵入りするケースもあります。この現象のことをデスバレー(死の谷)と表現し、研究開発マネジメントの課題として頻繁に取り上げています。

デスバレーの原因は様々
 デスバレーとは、1998年に米国下院科学委員会の報告書「Unlocking Our Future」で指摘されたことで利用され始めた言葉です。基礎研究と製品・事業化の間に、ベンチャーキャピタルや政府補助金などの資金投資が不足し、製品・事業化が進まないという状況を危惧したものでした。
 しかし、デスバレーをもたらす要因は、資金面の問題だけではありません。特に日本では、資金面以外の問題も深刻であるという「日本型デスバレー」が指摘されています。三菱総合研究所が2003年に実施した調査によると、「ビジョンの抽出や需要のコンセプト化の問題」「人材面の問題(リーダーシップ不足など)」「内部の部門間や組織間の連携問題」が課題として取り上げられています。

デスバレー克服に向けた研究開発マネジメントの取り組み
 デスバレーを乗り越えるためには、「基礎研究と事業(開発)の橋渡し」機能を強化する必要があります。
 各社の取り組み例を紹介すると、「中長期の技術開発ロードマップを描き、研究開発の方向性を全社で共有する」「有望技術の目利きを行う人材を明確化・育成する」「基礎研究部門と開発部門のリソース最適化、ローテーションによる活性化を行う」などがあげられます。
 ただし、橋渡し機能を強化しすぎて基礎研究と開発のリソースバランスを間違えると、本来、長期的視点で新技術を生み出すはずの基礎研究が弱体化してしまうケースも見受けられます。これらの最適なバランスをとる研究開発マネジメントが重要です。(赤木斉)


(書籍発行:2008年4月)
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