取引所間競争 Global Competitions among the Exchanges
運用資金のグローバル移動、ヘッジファンドの台頭、ITインフラの高度化を引き金に、取引所が国境を超えて合従連衡し、競争するようになっている。
欧米の主要取引所の国境を超えた統合や提携が拡大しました。現在、いくつかの主要グループが形成されつつあり、まだ旗色を鮮明にしていない日米欧の取引所の動向が注目されています。
ユーロネクストがきっかけ
古くは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とNASDAQとの競争などもありますが、最近のグローバルな取引所間競争の契機になったのは、2000年に起きたユーロネクスト(Euronext)の成立と考えられます。
パリ証券取引所、アムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所の欧州3カ国の証券取引所が合併し、その後、ロンドンのデリバティブ取引所であるLiffeやオランダの取引所が統合して、主要な欧州企業、主要なデリバティブ商品を揃える市場が成立しました。2006年にはNYSEが統合し、大西洋をまたがる取引所へと拡大しました。
この背景には、資金がグローバルに移動し、多様な商品がある取引所に取引が集中するようになったことがあります。また、ヘッジファンドなど大手の投資家が、高速な取引のITインフラを持つ優れた取引所に注文を集中させるようになったことも影響しています。そして、ITインフラの高度化で、投資規模が急拡大し、取引所の規模拡大が必要になったことが引き金となりました。
三大勢力の流れへ
NYSE−Euronextに対抗するように、欧州ではフランクフルト証券取引所を中心に、Eurex(デリバティブ取引所)などが統合して、ドイツ証券取引所として巨大化し、2007年には、米国2番目のデリバティブ取引所であるインターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)の買収方針を発表しました。
米国では、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、シカゴ商品取引所(CBOT)との統合を、同じく2007年に発表しました。
今後、世界の取引所間競争は、NYSE−Euronext、CME−CBOT、ドイツ証券取引所の三大勢力によって主導される状況が想定され、残りの巨大プレイヤーであるNASDAQ、ロンドン証券取引所(LSE)、東京証券取引所(TSE)の動向が注目されます。(田口芳昭)
(書籍発行:2008年4月) |