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経営用語の基礎知識
経営用語の基礎知識(第3版)

キャズム Chasm

ハイテク市場において、新しい商品やサービスが普及する過程で、「一部の先進層」への普及と「大衆層」への普及の間に存在する深い溝のこと。

 商品やサービスが社会に普及する過程において、ターゲットとすべき顧客セグメントは、イノベーター、アーリー・アダプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガードの5つに区分できるといわれています。
 キャズムとは、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間にある大きな溝です。実際に、レーザーディスクや電子ブックなどキャズムを越えられなかった例は多く、特にハイテク分野で新しい技術を普及させ、メインストリーム市場を形成するためには、この溝を乗り越えることが重要視されています(1991年にジェフリー・ムーアが提唱)。

キャズムを乗り越えるために
 キャズムが発生する原因は、この2つのセグメントで商品を導入する目的が異なるためです。アーリー・アダプターは、商品を変革の手段として捉え、他社や他人との差別化による優位性の確保であると考えるのに対し、アーリー・マジョリティは、効率化の手段として捉え、実用性を重視する傾向にあるとされています。
 そのため、各商品がどの普及段階であるかを把握し、それぞれに異なるマーケティングアプローチが必要です。具体的には、アーリー・アダプターへは数値的な詳細スペックを専門誌やブランドサイトなどで紹介し、アーリー・マジョリティには他社の導入事例や使用感を口コミなどのコミュニティを中心に訴求することが有効と考えられます。

多分野への応用と課題
 キャズムの概念は、当初、B to BにおけるIT領域商品の普及を対象としていましたが、その後、食品・飲料や日用雑貨といった消費者向け商品・サービスにまで幅広く利用されるようになりました。
 しかし、この概念はインターネット黎明期に提言されたものであり、現在のWeb2.0の世界では、このようなキャズムが発生しない場合や、容易に乗り越えられる場合もあるとの見方も出ています。(菅沼新子)


キャズムの概念図
キャズムの概念図
(出所)ジェフリー・ムーア『キャズム』


(書籍発行:2008年4月)
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