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経営用語の基礎知識
経営用語の基礎知識(第3版)

アービトラージ(裁定取引) Arbitrage

市場のゆがみを利用し、同じ価値を持つ商品の価格差を利用して利鞘を稼ぐこと。比較的低いリスクで収益機会を狙うことができる。

 アービトラージとは、同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引のことをいいます。

アービトラージの成立条件
 アービトラージは、同じ価値を持つ商品を、一方の市場で低い値段で買い、他の市場で高く売ることで成立します。
 例えば、1$=110円、1ユーロ=160円、1ユーロ=1.48$だとすると、(1)160万円で1万ユーロを買う、(2)1万ユーロを1万4800ドルにする、(3)1万4800ドルを売って円に戻すという取引を通じて、2万8000円の利鞘を稼ぐことができます。
 このようなアービトラージを市場参加者が一斉に行うと、ユーロが下がり、ドルが上がる方向に圧力がかかるため、利鞘は縮小し、最終的には利鞘を稼ぐことはできなくなります。
 主要通貨の外国為替市場など、成熟した市場では、短時間で価格が収束するため、アービトラージの余地は小さくなりますが、(1)情報の非対称性がある、(2)市場参加者が少ない、(3)商品の流動性が低いなどの条件が整えば、比較的長期間にわたってアービトラージの余地が残ります。また、見た目の商品性が異なる金利−為替間、金利−商品間、保険−デリバティブ間などでも、経済的価値が同一かつ価格差があれば、アービトラージは成り立ちます。

適正な市場形成にも寄与
 アービトラージは、右から左に商品を流すだけで、ノーリスクに見えますし、実際にそれなりの収益を確保できるため、アービトラージ専門の市場参加者(アービトラージャー)も存在します。
 しかし、アービトラージで成功するためには、(1)特定の市場・商品に関して他の参加者より情報収集が容易、(2)豊富な資金力と取引ツールを持つ、(3)万が一取引が途中で不成立になっても、損害を回避する手段がある(前述の為替の例であれば、ユーロ、またはドルを売却できない状況に陥っても、他の商品決済資金として流用できるなど)といった強みが必要となります。
 なお、市場全体で見れば、アービトラージは市場間の価格差を是正する方向に圧力をかけるため、市場のゆがみを正し、適正な市場価格形成に寄与しているといえます。(清林俊行)


(書籍発行:2008年4月)
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