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オブジェクトワークス 業務視点から提供する変化に応える次世代IT基盤 第1話 阪急百貨店の全社システム再構築プロジェクト
阪急百貨店では、2003年に全社システムの再構築に向けた3カ年計画を策定、多様なベンダーや技術の混在を起因とするシステムの複雑性を解消するために、基幹システムを共通基盤上に統合する取り組みを推し進めてきました。共通基盤には、野村総合研究所(NRI)が提供するSIフレームワーク「オブジェクトワークス」を採用。共通部品を駆使したユーザー主導の開発標準の確立と、適正なITガバナンスの実現により、プロジェクトを成功へと導くことができました。
複数ベンダーによるバラバラの技術の採用がさまざまな課題を生む
 阪急百貨店では、従来、ホストシステム上にPOS管理や売上管理、在庫管理といった基幹業務に関わるシステムを構築、運用してきました。各業務システムの構築は、それぞれ異なるベンダーが担当しており、ここ10年くらいの間に順次取り組んできた各業務システムのオープン化に際しても、当該システムを担当してきたベンダーがそのままオープン化の作業を実施するという形がとられています。
 「このため、システムごとに採用される技術も各ベンダーの意向に依存せざるを得ず、結果的には従来のホストシステムはもちろん、オープン系のサーバーにおいてもバラバラの技術を採用したシステムが乱立することとなってしまいました」と語るのは、阪急百貨店グループの情報システム会社として、同百貨店のシステム開発を統括するウイズシステムの代表取締役社長 近藤武弘氏です。
 当然、こうした全体としての一貫性を欠いたシステムにおいては、各サブシステム間で機能やデータが重複しているといったことも珍しくはなく、全体を通じての共通ルールがないためにシステム間の連携にもさまざまな制約が生じているという状況でした。さらに、こうしたシステムの複雑化によって、新規機能の追加やシステムの拡張にも、その都度大きな困難が伴い、それに要するコストもますます肥大化するといった問題も顕在化してきていました。


“日本発”の大きな安心感が「オブジェクトワークス」採用の決め手
 こうした問題を解消すべく、阪急百貨店では2003年に全社システムの再構築に向けた3カ年計画を策定し、それに則った開発プロジェクトを推し進めることとなりました。このプロジェクトで目指したものは、システムの開発・実行のための共通基盤を整備し、多様なベンダーや技術が混在する環境で展開されたシステムを、標準的な部品を用いて基盤上に統合することでした。そして、その共通基盤を実現するための製品としてウイズシステムが採用したのが、NRIが提供するSIフレームワーク「オブジェクトワークス」だったのです。
 「フレームワークの採用にあたって、各社から提供されている製品は一通り検討しましたが、そのなかでわれわれがNRIのオブジェクトワークスに注目したのは、国内のSIベンダーが自ら開発した“日本発”の製品であるということでした」と近藤氏は、採用のポイントを語ります。言うまでもなく、このとき阪急百貨店が構築しようとしている共通基盤は、同百貨店の全システムの“要”となる部分であり、また将来的なシステム展開に向けての重要な“礎”となるものでもありました。したがって、採用する製品には、その製品が状況に応じた適切なアップグレードを継続的に実施しながら安定的に提供されることが、何をおいても重要な要件だったのです。「その点で、NRIという信頼できる国内のSIベンダーが提供していることの安心感は、実に大きかったといえます」(近藤氏)。


開発標準の策定とアプリケーションの共通部品を整備
 阪急百貨店におけるオブジェクトワークスを中核としたシステムの再構築は、大きく3つのフェーズを通じて取り組まれました。まず2003年4月から始まる第1フェーズでは、オブジェクトワークスを用いた共通基盤を、新たに設置したゲートウェイサーバー上に構築し、そこにアプリケーションの共通部品を整備しました。
 あわせて、基盤上にアプリケーションを開発するにあたっての開発標準を作成、J2EEなど開発者のスキルに依存しないアプリケーション構築の枠組みを確立しました。「実のところ、当初は開発標準の策定をどう進めていいのか全くわからなかったのですが、NRIから既存の標準書や開発パターン集、Tips集など、適切なテキストを必要に応じて提供してもらい、それらを基にスムーズに作業を進めることができました」とウイズシステム ソリューション事業部 部長 赤路義則氏は明かします。
 これは、単にフレームワーク製品を提供するだけではなく、豊富なドキュメントやノウハウ、支援サービスをもあわせて提供が可能なオブジェクトワークスのトータルサービスのメリットが活かされたものといえます。近藤氏は「こうした製品自体の良さを最大限に引き出すサポートが得られたというのも、やはり国内に開発者がいる日本製であることの強みでしょう」と、オブジェクトワークスが“日本発”であることのアドバンテージをあらためて強調します。
 さらに第1フェーズでは、2004年夏頃までの間に、オブジェクトワークスの提供する機能を活用して、システムのフロントエンド部分を司るWebシステム基盤や、認証機能、営業帳票印刷機能などの共通処理の整備を行いました。


ベンダーのコントロールやオフショア開発へのスキル展開にも大きな成果
 その後の第2フェーズでは、第1フェーズで策定したオブジェクトワークスをベースとした開発標準を、各サブシステムの担当ベンダーに対してガイドラインとして提示するとともに、アプリケーション連携のための共通インターフェイスを整えました。これにより、各ベンダーが従来、独自の環境で提供してきた各機能が、オブジェクトワークスの共通基盤上に統合化されていく方向へと動き出したわけです。
 また、ウイズシステムが各ベンダーにシステムを発注する際のRFPの前提にオブジェクトワークへの適用を盛り込むことによって、各ベンダーとのやりとりを、ビジネスアプリケーション本来の仕様に関するものだけに集約させることができるようになりました。つまり、Webの基本処理や認証処理など共通基盤側で吸収される機能に関する仕様を検討する必要がなくなったわけです。その結果、提案内容の検証が大幅に省力化され、開発工程の見積もりの精度も向上し、ベンダーのコントロールが容易かつ正確に行えるというメリットももたらされています。
 さらに、ウイズシステムでは1999年に中国の大連に子会社を開設して以来、現地での開発にも注力してきていますが、第2フェーズではそうしたオフショア開発の局面にもオブジェクトワークスをベースとした開発標準を適用しました。その成果は「例えば、大学を卒業したばかりの初級程度のJavaのスキルを持った現地開発者でも、最大3ヶ月程度の講習を行えば、十分に即戦力として開発に携われるようになります」(赤路氏)といったように、スキルの展開が非常に容易となっています。もちろん、こうしたオフショア開発の活用が、開発コストの削減につながっていることは言うまでもありません。


戦略情報をWeb画面上で一元的に提供する社内ポータルを共通基盤上に構築
 その後、2006年1月からは3カ年計画の最終段階となる第3フェーズの開発が進められました。このフェーズでは、それまでに整備した共通基盤をさらに応用するかたちで、ユーザーにとってより付加価値の高いシステムの実現を目指すこととなりました。具体的には、阪急百貨店の社員に対して、これまで帳票などで提供していた各システムに格納されている戦略情報を、Web画面上で一元的に提供するための社内ポータルを構築、すでにその運用を開始しています。各社員はこのポータル画面からシングルサインオンによって、それぞれの職掌に応じた経営情報や業務情報を速やかに入手することが可能となり、業務生産性の向上に大いに役立てています。「こうしたシステムも、オブジェクトワークスが標準で提供するメニュー制御テンプレートや統合認証機能に最小限のカスタマイズを施すだけで、非常に簡単に構築することができました」と赤路氏は語ります。
 このように阪急百貨店では、NRIのオブジェクトワークスによる共通基盤を構築することで、多様なベンダー、技術が混在することによるシステムの複雑化の問題を解消、ユーザー主導の開発標準の確立と適正なITガバナンスを実現し、全社システムの再構築に向けた3カ年計画を成功へと導くことができました。
 2005年からは、2011年春に営業を始める阪急百貨店うめだ本店の建て替えプロジェクトも進行中。近藤氏は「今回の共通基盤を中核として、新本店にもふさわしい、そしてさらにユーザー満足度の高いシステムの構築を目指していきたいと考えています」と胸を張ります。

阪急百貨店

株式会社阪急百貨店
株式会社ウイズシステム

※本文中の組織名、職名は公開当時のものです (2007/01/15公開)
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