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| 日本生命保険相互会社(以下、日本生命)では、2002年3月に野村総合研究所(NRI)の「ILF Powered /Ex」を中核とした電子帳票システムを構築しました。以来、かつて紙ベースで運用してきた膨大な量の帳票を電子化すべく、取り組みを推進してきました。その結果、各営業部への帳票流通に関わるコストの大幅な削減と関連業務の効率向上を実現。また、こうしたペーパーレス化に向けた取り組みは、事業活動のあらゆる分野で地球環境に配慮した行動に努める同社の経営目標の一環としても重要な意義を持っています。 |
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日本生命
システム企画部
課長補佐
立岡 聡氏
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銀行窓口での販売解禁をはじめとする販売チャネルの多様化や、各種医療保険など時代のニーズを受けた様々な新商品の登場などといった一連の規制緩和政策や、高齢化といった社会環境の変化を背景に、ますます競争が熾烈化する生命保険業界。こうした状況のなか、生命保険会社が競争優位を維持するためには、常に顧客の目線に立った高品質のサービスをスピーディに提供していくことが不可欠です。その際のカギとなるのが、ITをベースとした業務改革になります。
日本生命では、2001年に業務の効率化を目指し、“Web化”をキーワードに社内システム、顧客向けシステムの刷新を順次進めてきました。その取り組みの1つとして、2002年3月に、電子帳票システムを構築し、それまで紙ベースで運用してきた膨大な量の帳票を電子化することで、全社的な業務の大幅な効率向上を実現しています。
日本生命は、大阪および東京の本部のもとに、全国約130カ所に支社が配され、さらにその配下に約1,700カ所の営業部が置かれるという形の3層で組織が構成されています。従来の紙ベースの帳票運用では、本部で一括作成した帳票を顧客と接する営業部にむけて流通させるためには、まず本部で帳票を印刷し、それを人が仕分けして、社内物流に乗せて支社に送ります。次に支社では、さらにそれを仕分けして各営業部に発送するという、非常に冗長なプロセスをたどっていました。このため、本部で帳票作成後、実際に営業部に届くまでの所要時間は翌々営業日、場合によっては、さらにその所要日数は伸びることもあります。
「これでは、お客様の問い合わせに対して即座に答えることができないといったケースも当然でてきます。このような問題点がサービス向上を図るうえでの大きなネックになっていると考え、迅速な情報の伝達と関連業務のBPRを実現するために、帳票の電子化に着手することにしました」と、日本生命 システム企画部 課長補佐の立岡 聡氏は、電子帳票システム構築の背景を紹介します。
また日本生命では、事業活動のあらゆる分野で地球環境に配慮した行動に努める旨を謳った環境憲章を制定しており、2001年には企業の活動が環境に与える負荷を低減・改善するための仕事の手順などを定めた環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得しています。つまり「業務活動におけるペーパーレス化は、日本生命の経営理念に沿ったものでもある」(立岡氏)わけです。
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ニッセイ情報テクノロジー
保険ソリューション事業部
プロジェクトマネージャー
小上馬 健次氏
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新システムのベースとなる電子帳票システム製品の採用にあたっては、2つの重要な要件が存在していました。その1点目が、日本生命が扱う膨大な量の帳票を十分なパフォーマンスで扱えるかという問題でした。当時同社で本部一括作成する帳票は13,000種類、年間で約6,800万ページにものぼる帳票が出力されていました。その規模は、まさに国内でも有数のもので、新システムはこうしたシビアな帳票処理に対応できるものでなければならなかったのです。
そして、2点目の要件は、UNIXへの対応でした。すでに述べたように、本部で作成される帳票は、本部や支社、営業部など含めると全部で2,000近い拠点で利用されることになります。つまり、システムの停止はこれらすべての拠点における業務を停滞させる結果となってしまいます。そこで日本生命では、新システムのプラットフォームに信頼性の高いUNIXを採用することをあらかじめ決めていたのです。
これらの2つの要件に照らして検討を重ねた結果、NRIの電子帳票システム「ILF Powered /Ex」をベースに新システムを構築することを決定しました。「ILFは、大量帳票を電子化する際、1ページあたりの変換スピードが非常に高速である点を高く評価しました。また、Web対応の電子帳票システムのほとんどがWindowsベースであるのに対し、ILFはWindows対応版以外に、NRIによってUNIX上でも稼働可能なようにカスタマイズしてもらえるという点も評価しました」と、日本生命のシステムに関わる開発・運用を担うニッセイ情報テクノロジー株式会社(以下、ニッセイ情報テクノロジー)保険ソリューション事業部プロジェクトマネージャーの小上馬健次氏は、ILFを採用した理由を語ります。
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このような背景や目的で構築された日本生命の電子帳票システムの仕組みは次の通りです。(1)従来は紙帳票のプリンタ出力を行っていたメインフレームからの帳票データを、大容量の高速ストレージを介してILF変換サーバで受け付ける(2)ILFファイルに変換してILF
Webサーバに送信するとともに、営業部ごとに異なる、論理的な表示属性情報を抽出してDBサーバに格納します。(3)全国の営業部に置かれたパソコンのWebブラウザから、同社のイントラネットを介してILF
Webサーバにアクセスしてきたユーザーの要求に対し、ILF Webサーバ上の必要な帳票を、DBサーバで管理している属性情報を参照しながら返す、というかたちです。またユーザーは、必要な帳票を印刷、参照するだけでなく、計算用途で用いるためのCSVデータを同時にダウンロードすることも可能です。
小上馬氏は「単一の帳票も営業部ごとに利用する範囲などが異なるため、合計で約2,000種類の帳票になり、そのままでは何億というファイルをシステムで管理しなければならなくなってしまいます。そこで、物理的な帳票ファイルは1つにして、論理的な属性情報をDBサーバで管理し、営業部ごとに参照できる範囲を絞り込むといった工夫をしています」と、このシステムの特徴を説明します。
そのほかセキュリティに関しては、ユーザーID認証基盤を採用し、シングルサインオン環境を実現するとともに、課コードや任意の特定ユーザーグループ、IPアドレスによる権限に応じたアクセスコントロールが行われています。あわせて、ログインしたユーザーのアクセスに関わる情報はすべてログに記録し、これらログは監査証跡として、日本生命のセキュリティポリシーに則り13ヶ月間保存されることになります。こうした帳票利用をめぐるセキュリティ上の取り組みが、今日の企業にとって大きなテーマとなっている内部統制の強化という観点からも重要な意義を持っていることはいうまでもありません。
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ニッセイ情報テクノロジー
保険ソリューション事業部
坂東 寛子氏
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日本生命
システム企画部
副主任
岩瀬 泰友氏 |
2002年の稼働直後にこのシステム上で電子化されていた帳票は、全13,000種類中、数百でしたが、その後、日本生命では順次電子化を進め、現在では約6,000種類が電子帳票化されています。また、稼働以来ユーザーの声を反映した機能拡張も着実に行われてきました。すでに紹介した帳票データのCSV形式でのダウンロード機能のほか、電子スタンプ機能も、ユーザーからの要望に基づいて提供されています。「こうした機能拡張も、ILF自体が備える豊富な機能に加え、開発上必要となるAPI(Application
Program Interface)などをNRIが柔軟に用意してくれたことにより迅速かつ容易に行うことができました」と語るのは、ニッセイ情報テクノロジー
保険ソリューション事業部坂東寛子氏です。
そして稼働後4年を経た現在、この電子帳票システムは日本生命の業務において不可欠なものとなっています。「当初は、帳票の電子化に対する反発が部分的にあったことは事実ですが、東京・大阪の本店本部をまわって説明会を実施し、システムのメリットや使い方を説くなかで、そうした問題も解消しました。いまでは、全社の業務に広く浸透しており、従来の紙帳票に比べて、業務効率が大幅に改善され、帳票保管に関わるコストも削減できたという声も多く寄せられています」と日本生命
システム企画部 副主任の岩瀬泰友氏はその成果を紹介します。
そのほか、電子帳票化は社内に存在する帳票の種類をスリム化する局面でも大きなメリットをもたらしています。つまり電子帳票の参照ログを見れば、当該帳票の使用頻度が分かり、必要のないものは削除することができるというわけです。岩瀬氏は「2005年度は、これにより1,065帳票が削減できました。2006年度も1,000帳票規模での削減を図りたいと考えています」と語ります。
最後に立岡氏は「帳票の電子化は、当社にとって業務効率化やコスト削減、さらには環境対策といった経営目標に向けた取り組みの一翼を担う活動にほかなりません。そうした観点から、今後もさらにシステム化を中心とした取り組みを強化し、究極の目標である社内業務の“完全ペーパーレス化”に向けて着実に歩んでいきたいと考えます」と、そのビジョンを語ります。
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| ※本文中の組織名、職名、構成図は公開当時のものです |
(2007/02/05公開) |
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