株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、会長兼社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2009年7〜8月、全国で15歳〜69歳の男女個人1万人を対象に、訪問留置法で「生活者1万人アンケート」を実施しました。NRIでは、1997年以降3年おきに、このアンケートを実施しており、今回で5回目となります。時系列分析を含む調査結果は、以下のようにまとめられます。

経済環境が悪化する中で、生活者は必ずしも低価格志向を強めている訳ではなく、むしろ品質や環境、安全などの付加価値を重視する傾向が強まっています。その際に、知人・家族からの情報や、インターネットの普及を背景とする口コミサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、生活者間でやりとりされる情報を活用しながら、自分にとって本当に価値があるものについて、“見極める消費”を行う傾向が強くなっています。

【低価格志向よりは、「品質」「環境配慮」「安全性」といった付加価値重視へ】

景気が「悪くなる」と考える人は全体の29.2%をしめていますが、その水準は景気悪化局面に実施された前々回の2003年調査の時(28.2%)とほぼ同水準となっています(図1)。将来の見通しについては、「今よりも少ない収入を前提とした生活設計を考えている」人が増加して、2003年以降は「今以上の収入を前提としている」を上回っており、今回の調査では26.5%と過去5回の調査の中で、最高値となっています(図2)。

このように、景気の見通しや今後の生活設計を考える上での収入の前提について、かなり厳しい見方がされています。一方で、消費価値観の変化傾向をみると、「とにかく安くて経済的なものを買う」という人は増加しておらず、「できるだけ長く使えるものを買う」といった品質を重視する傾向や、さらには自分のライフスタイルへのこだわり、環境保護、安全性重視の傾向が強まっています(図3)。ここから、「支出は極力抑えたいが、消費の対象は、“安かろう悪かろう”ではなく、価格と品質のバランスが大事」という現在の生活者の消費に対する心理が浮かび上がります。

【CGMなどで得られる情報をもとに、価値あるものを「見極める消費」の傾向が拡大】

「無名なメーカーよりは有名メーカーの商品を買う」人が42.3%(2006年比+3.9ポイント)など、ブランドや有名なメーカーを志向する傾向の上昇に加えて、インターネットの利用の普及などを背景とした、「事前に情報収集してから買う」人が35.8%(2006年比+6.9ポイント)、「使っている人の評判が気になる」人が26.9%(2006年比+6.0ポイント)と、いずれも増大しています(図4)。このようなブランド重視と情報感度の高まりの傾向にみられるように、信頼できる基準を求めた上で購入を決定する傾向が強まっています。

また、男女ともに若年層ほど、知人・家族からの情報や、インターネット上の口コミサイト・SNSなど、いわゆるCGM(Consumer Generated Media;消費者生成メディア)とよばれる手段により、生活者間でやりとりされる情報を、消費の際に重視しています。

このように、買い物時に情報を重視する姿勢を強める生活者には、自身で様々な情報を収集しながら、自分が本当にほしいもの、価値があるものを「見極めた」上で、消費をする傾向が広がっています。

【商品購入時のチャネル選択でも、「見極める」傾向が強まる】

生活者が、食料品・日用品などを日常的に購入するチャネル(店舗など)の中では、コンビニエンスストアの利用頻度が大きく増加(6.0回/月(1997年)⇒8.2回/月(2009年))し、ドラッグストアで微増となったほかは、横ばい、あるいは減少傾向となっています(図5)。耐久消費財や趣味品などの買回り品を購入するチャネルの利用者割合が大きく増加したのは、大型家電量販店や、各種専門店の集合体であるショッピングモールです。逆に、総合業態(衣食住の全分野を網羅する小売業態)である百貨店については、顧客離れに歯止めがかからない状況となっています(図6)。一方で、インターネット通販市場は堅調に成長を続け、20代〜30代の層では、インターネット通販利用者の割合が4割強に達しており、主たる購入チャネルの一つとして定着しています。

上記の結果から、生活者は商品購入時のチャネル選択においても、自分にとって便利で役に立つような、自分に適したチャネルを「見極める」傾向を強めているといえます。例えば、インターネット通販の利用拡大は、生活者の「在宅志向」といった生活スタイルの変化に合わせて、より適したチャネルが選択された結果であると考えられます。他にも、この1年間に利用したことがあるサービスをみると、食材の宅配や宅配便などの宅配サービスの利用経験が増加しています。また、余暇活動では、旅行などの非日常型レジャーが減少する中、パソコンやテレビゲームなどの家型レジャーをする人が増加しています。このように在宅消費の傾向が高まるにつれて、在宅での購入が可能という訴求ポイントが明確であるインターネット・ショッピングが今後ますます伸びていくと予想され、その一方で、店舗を核とした従来のチャネルは、より独自の価値が求められていくでしょう。

当調査結果に関する詳細資料は、NRI公式サイトよりダウンロードできます。
http://www.nri.co.jp/news/2009/091228/091228.pdf


【ニュースリリースに関するお問い合わせ先】
株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 馬場、潘
TEL:03-6660-8370 E-mail:

【ご参考】

●調査概要

調査名:
「生活者1万人アンケート調査」
実施時期:
2009年7〜8月
(同様の調査を1997年、2000年、2003年、2006年にも実施)
方法:
訪問留置法
対象:
全国の満15〜69歳の男女個人(層化二段無作為抽出法により抽出)
有効回答数:
10,252人
(1997年は10,052人、2000年は10,021人、2003年は10,060人、2006年は10,071人)
調査担当:
研究創発センター兼サービス事業コンサルティング部 日戸、塩崎、前川
(注)
図1を除く各図における各調査年の基数は、1997年(N=10,052)、2000年(N=10,021)、2003年(N=10,060)、2006年(N=10,071)、2009年(N=10,252)
図1:今年から来年にかけて「景気」がどうなると考えているか
図1:今年から来年にかけて「景気」がどうなると考えているか
(注)
各年の基数は無回答を除いたもので、1997年(N=10,036)、2000年(N=9,993)、2003年(N=10,024)、2006年(N=10,004)、2009年(N=10,213)
図2:今後の生活設計をするうえで、収入をどのように考えているか
図2:今後の生活設計をするうえで、収入をどのように考えているか
図3:基本的な消費価値観(複数回答)
図3:基本的な消費価値観(複数回答)
図4:ブランド意識と情報感度の推移(複数回答)
図4:ブランド意識と情報感度の推移(複数回答)
図5:日常的に利用する商品購入チャネルの平均利用頻度
図5:日常的に利用する商品購入チャネルの平均利用頻度
(注)
  • 各チャネルの利用頻度の回答結果を加重平均して算出した値
  • GMS:衣料品・家電等も販売している総合的なスーパーマーケット
図6:買回り品購入チャネルの利用割合(過去1年間での利用経験)
図6:買回り品購入チャネルの利用割合(過去1年間での利用経験)

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