株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、会長兼社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2014年度までのユーザーインタフェース技術(※1)の進展とそのインパクトを予測した「ITロードマップ」(※2)をとりまとめました。
顧客接点が、対面からPC・携帯電話などのIT機器へシフトすることにともなって、ユーザーインタフェース技術は、商品やサービスを購入・利用する過程で得られる「顧客経験価値」(※3)に大きな影響を与えます。
現在、ユーザーインタフェース技術には2つの変化が起きています。1つはWebアプリケーションの機能や性能が、OSに直接インストールして利用するアプリケーションソフトと同レベルに向上していく変化です。もう1つは、人にとって自然なユーザーインタフェースの実現が進んでいるという変化です。
今後、ユーザーインタフェースは、人にとって、より自然なものになっていきます。具体的には、音声認識やモーションセンサーのように機械が人の動きを理解する技術、さらに、現実世界で得られる五感を仮想的に再現する触覚インタフェースや嗅覚インタフェースなどの技術が台頭することが予測されます。これらの技術は、現実世界と変わらない言葉や動作(指差しや目配せなど)でITを利用することを可能とし、その過程で、現実世界と同じような感覚(洋服の肌触りやコーヒー豆の香りなど)を得られるようになると予測されます。
このようなユーザーインタフェース技術は、従来のWebサイトや現実世界で得られる経験を変革する可能性も秘めています。今後、企業にとっては、自社の顧客が期待する以上の顧客経験価値を創出する原動力になると考えられます。
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<顧客経験価値を高めるユーザーインタフェース技術のロードマップ> |
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- ■2009〜2011年度:黎明期
次世代WebブラウザによるWebアプリケーションの機能や性能の向上
- 2010年度にHTML5がW3C(※4)より正式勧告され、HTML5や関連する技術を実装したWebブラウザの普及率が徐々に拡大します。この変化により、企業は従来インストールを必要したアプリケーション(業務アプリケーションソフト、高度なトレーディングシステム、動画/3DCG編集など)もWebブラウザを通じて顧客に提供が可能になります。オフライン環境でも利用できる高機能で処理速度が速いWebアプリケーションが企業から提供され、その利便性の高さから顧客側のニーズも徐々に拡大していきます。
- 人にとって自然なユーザーインタフェース技術
- 人が機械に合わせるマウスやキーボードといったユーザーインタフェース技術だけでなく、人にとって自然なユーザーインタフェースが台頭し始めます。また、音声認識やマルチタッチ、モーションキャプチャーなど人の挙動を認識する技術と位置情報など人の状況を認識する技術が先行して普及します。心拍や脳波など生体情報を認識する技術については、医療機関以外でも一部のゲームやマーケティング調査用途で限定的に利用され始めます。これらの技術はIT市場の拡大や利用シーンの多様化により、さまざまな使い方が企業や大学、消費者によって提案されていきます。
- ■2012年度以降:普及期
次世代WebブラウザによるWebアプリケーションの機能や性能の向上
- HTML5に対応しているWebブラウザが一般的に普及します。そのため、企業はHTML5対応済みのWebブラウザの普及率を気にすることなく、自社のWebサイトやWebアプリケーションをHTML5や関連する技術に準拠したものに切り替えることができます。普及率の低さから提供を見送ってきた企業も徐々に対応を迫られ、普及がさらに拡大します。
- 人にとって自然なユーザーインタフェース技術
- 音声認識やマルチタッチ、モーションキャプチャー、位置情報は汎用的なIT機器に広く搭載されるようになり、企業はアプリケーションにふさわしいユーザーインタフェース技術を自由に選択し組み合わせて提供できるようになります。五感を再現する技術は視覚・聴覚・触覚・嗅覚を組み合わせたマルチモーダル(※5)の方向へ進展します。視覚インタフェースは、高精細化が進むとともに3D表示デバイスの普及から、多くのコンテンツが3DCGに切り替わることが予測されます。また、触覚インタフェースは徐々に小型化され、一部の消費者に利用されはじめ、嗅覚インタフェースはデジタルサイネージ(※6)などでの商用利用が広がるでしょう。
- NRIは、ユーザーインタフェース技術を始めとしたエクスペリエンス・テクノロジー(※7)に加え、これから注目すべき情報技術の進展をまとめた単行本「ITロードマップ2010年版〜情報通信技術は5年後こう変わる!〜」を、12月中旬に東洋経済新報社から発売する予定です。
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| ※1 |
ユーザーインタフェース技術:コンピューターと人間との間で情報をやり取りするための接点。マウスやモニター等 |
| ※2 |
ITロードマップ:お客さまのIT戦略の意思決定を支援することを目的にして、5年先までの情報技術を予測した技術見通しであり、NRI技術調査部が半期毎に公表しています。 |
| ※3 |
顧客経験価値:商品やサービスの機能や性能(物理的な価値)ではなく、商品やサービスを 購入したり使用したりする過程の経験(感情的な価値)を訴求するマーケティングのコンセプト。 |
| ※4 |
W3C:World Wide Web Consortiumの略。Webに関連する標準化を行う非営利団体。 |
| ※5 |
マルチモーダル:音声・モーション・視覚・触覚など複数の様式でITとインタラクションすること。 |
| ※6 |
デジタルサイネージ:IT技術を活用した電子看板のこと。 |
| ※7 |
エクスペリエンス・テクノロジー:NRIの造語で、顧客経験価値を高める技術の総称(経験創出技術)。 |
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