株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、会長兼社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2014年度までのワイヤレスブロードバンド(※1)の進展とそのインパクトを予測した「ITロードマップ」(※2)をとりまとめました。ワイヤレスブロードバンドにより、「いつでも・どこでも」さまざまな携帯端末から、ストレスを感じることなく画像などのコンテンツを発信し共有できるなど、今後消費者や企業の情報の利活用は大きく変化することが予想されます。

現在、携帯電話を利用して「いつでも・どこでも」ネットワークに接続することができますが、有線ネットワークを利用したパソコン経由でのインターネット接続に比べると通信速度は遅く、利用可能なコンテンツやサービスに制約があります。
 一方、インターネット上では、SNS(ソーシャル・ネットワークキング・サービス)やブログ、IT活用の概念を変えるSaaSやクラウド・コンピューティングへの関心が高まるなど、消費者と企業双方の活動に影響を及ぼすさまざまなサービスが登場しています。ワイヤレスブロードバンドの開始により、上り通信も高速化されるという特徴を活かし、大容量コンテンツの発信も容易になります。NRIでは、ワイヤレスブロードバンドのロードマップを黎明期(2009〜2011年度)と普及期(2012年度以降)に分け、以下のように展開していくものと予想しています。

  <ワイヤレスブロードバンドのロードマップ>
 
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  ワイヤレスブロードバンドのロードマップ
      (出所)各社プレスリリースならびに公開情報をもとに作成
■2009〜2011年度:ワイヤレスブロードバンドの黎明期
2009年度にはUQコミュニケーションズやウィルコムがワイヤレスブロードバンドサービスの提供を開始し、2010年度にはNTTドコモもサービスを提供する予定です。サービスが利用可能な地域は、都市部などの人口密集地に限定されますが、ユーザーは通信カードとノートパソコンを利用して有線ネットワーク並みのインターネット接続が可能になります。
 現在、ゲーム機や電子書籍端末のネットワーク接続には無線LANや3G携帯が利用されていますが、これらの端末にもワイヤレスブロードバンドとの接続が可能な通信機能が搭載されていきます。
 2009年度以降、グーグル、ブラックベリー、マイクロソフトなどが、世界中の企業や個人が作ったアプリケーションやコンテンツを携帯電話に配信するサービスを開始します。また、ヒューレット・パッカード(HP)やサムスンなど海外のメーカーやコンテンツベンダーは「ng Connect Program(※3)」を結成し、次世代通信機能を有したさまざまな機器へのアプリケーションやコンテンツ配信を行うための検討を始めています。この結果、次世代通信機能を持つネットワーク接続端末、たとえば電子書籍端末やゲーム機、デジタルフォトフレームなどが登場すると予想されます。
■2012年度以降:ワイヤレスブロードバンドの普及期
2012年度にはUQコミュニケーションズとウィルコムのワイヤレスブロードバンドサービスの人口カバー率が90%を超え、NTTドコモに続いてauやソフトバンク・モバイル、イー・モバイルも下り100Mbpsの高速通信を実現するLTEを利用したサービスを開始予定です。
 この時期になると、家電品や車載端末、カメラやデジタルサイネージ(電子看板)などもワイヤレスブロードバンドに接続し、インターネットの利用シーンが増大します。たとえば、車や列車に乗った状況での映像のストリーミング視聴が可能となります。
 さらに、上りの通信速度の高速化によって、携帯電話やカメラで撮影したハイビジョン映像をその場からネットを介して発信するといったことも可能になります。たとえば、子供の運動会の映像をハイビジョン撮影しつつ遠隔地の祖父母にライブ配信し、大画面テレビを使って臨場感あふれる映像を楽しむと いったシーンも実現するでしょう。
 ビジネス環境も大きく変わります。たとえば、ワイヤレスブロードバンドを活用すれば、業務の自由度を高めることが可能です。現在、大容量のデータや画像の送受信は有線ネットワークを引いた事業所で行う必要があります。2012年以降、ワイヤレスブロードバンドが普及することで、移動型の店舗であっても高速、大量のデータ送受信が可能となり、これまで店舗を設置することが難しい地域や都市の顧客との接点を増やすことが可能となります。
※1 ワイヤレスブロードバンド:下り20Mbps以上の高速通信を実現するモバイルWiMAXや次世代PHS、LTE※(ロング・ターム・エボリューション)などの高速無線通信技術の総称。
※LTE(ロング・ターム・エボリューション、Long Term Evolution):新しい携帯電話の通信規格。2010年頃からサービスが開始される予定である。第3世代と第4世代との間の技術であることから3.9世代とも呼ばれる。
※2 「ITロードマップ」:お客さまのIT戦略の意思決定を支援することを目的にして、5年先までの情報技術を予測した技術見通しであり、NRI技術調査部が半期毎に公表しています。
※3 「ng Connect Program」:アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)が次世代無線通信技術の開発を目指して結成したコンソーシアム。サムスン、HPなどが参画している。

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