NEWS RELEASE
「BCP(事業継続計画)に関するアンケート調査」を実施
〜 BCP策定済みまたは策定中の企業は6割超 〜

2007年11月22日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、今年10月、東京証券取引所の一部上場全企業および非上場企業の売り上げ上位企業の計3,000社を対象に「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)(※)に関するアンケート調査」を実施しました。その結果、BCPを策定済みまたは策定中の企業は全体の6割を超えました。しかし、重要業務の絞込みや事業復旧時間の設定、事業停止時間の評価について、すべて実施している企業は、このうち13.6%であることが明らかになりました。

(※事業継続計画とは、企業にとって想定されるリスクに対し自社の重要業務を継続または早期復旧するための具体的な目標と対策を設定した計画を指す)

【全体の約6割がBCPを策定】
 今回の調査によると、BCPを策定済みおよび策定中の企業は全体の65.1%(「策定済みである」29.0%、「策定中である」36.1%)であることがわかりました。また、「策定の予定がある、もしくは策定に関心がある」と答えた企業は全体の32.5%でした(図1)。

 BCPが想定しているリスクとしては「地震」が95.8%、「自社設備の事故・故障」が66.7%、「その他の自然災害(風水害等)」が56.4%と、自社リソースの物理的被害の発生に係るものが多くを占めています(図2)。BCPに関心を持ったきっかけは、「被災が自社の経営に著しい損害を及ぼすと考えられるため」が70.9%、次いで「BCPが、自社のイメージ向上や同業他社との差別化、付加価値向上の一環として有効と考えられたため」が43.0%でした(図3)。このことから、地震等のリスクに対して“自社を守るリスクマネジメント”という観点だけでなく、リスクに対する積極的な姿勢を意識している企業も半数近く存在することが分かりました。

【BCPの策定内容は企業によってバラつきが】
 BCP策定について「策定済みである」または「策定中である」と答えた企業に対して、重要業務の絞り込みや復旧日数の設定の考え方について聞いたところ、「重要な業務・サービスの絞り込みを行っている」や「発災時に目標とすべき事業復旧時間を、絞り込んだ業務・サービスの重要性を踏まえて設定している」、「発災時に予想される事業停止時間を、自社の防災対策の現状を踏まえて評価している」全てに回答した企業は13.6%でした(図4)。

 また、対策の実施状況についても聞いたところ、施設・設備といったハード対策である「主要なシステム・生産設備の防災対策を行っている」、「重要データのバックアップを実施している」について、「行っている」と答えた企業はそれぞれ81.8%、88.2%でした(図5)。一方で、運用ルール等のソフト対策については、「正社員の参集ルールを決めている」、「派遣社員や契約会社等の正社員以外の参集ルールを決めている」について、「行っている」と答えた企業はそれぞれ60.9%、22.7%でした(図6)。

これらから、自社の被災影響の分析に基づく現実的な事業継続や復旧の目標設定がなされ、かつハード・ソフト両面を考慮した対策までを盛り込んで整備されたBCPは、現状ではまだ少ない傾向にあることが分かりました。

【BCP策定に踏み切れない企業は重要性認識やリソース確保に課題】
 BCP策定について「策定の予定がある、もしくは策定に関心がある」と答えた企業に対して、BCP策定に着手する時期を聞いたところ、「数年以内」が18.2%、「策定を行う時期は未定」が58.2%でした(図7)。さらに、BCP策定に向けた課題についても聞いたところ、「他に優先すべき業務を抱えており、着手する余力がない」が60.0%、次いで「BCP策定に必要となる人材が不足している」が47.3%、「BCPの策定内容や検討方法がわからない」が34.5%となっています(図8)。
 BCP策定に踏み切れない多くの企業は、策定の重要性を感じながらも、リスクの切迫感が他の経営に係る要素と比べて重要視されていなかったり、ノウハウや体制といった検討に必要なリソースの確保に問題を抱えていたりすることが障壁となり、具体的な策定スケジュールが組めない状況にあると考えられます。

 企業によってBCPの策定内容に差があったり、策定に踏み切れない企業が3割超存在する現状への対策として、BCP策定が企業の付加価値向上につながるような社会システムが必要であると、NRIは提言します。具体的には、第三者機関による監視・評価・公表のスキームを構築することで、より実効性の高いBCPを普及させることができると考えています。この考えに基づき、NRIでは今後も、企業のBCP策定動向を追うとともに、第三者評価スキームの構築および評価実施、BCP策定・導入コンサルティング、BCP教育・訓練の検討支援、BCP関連ITソリューション等を、行政機関や企業に対して提供していく予定です。



【ニュースリリースに関するお問い合わせ先】
野村総合研究所 広報部 瀬戸、野村 TEL:03-6660-8370 E-mail:  




【ご参考】

●調査概要
「BCPに関するアンケート調査」
実施時期: 2007年10月1日〜17日
方法: 郵送配布および回収(インターネットによる回答も可とした)
対象企業数: 東京証券取引所の一部上場全企業および非上場企業の売り上げ上位企業の計3,000社
回答企業数: 169社

図1:BCPの策定状況(N=169)

図1:BCPの策定状況(N=169)

図2:BCPが想定しているリスク(N=165、複数回答)
※BCP策定済み、策定中、策定に関心がある企業から回答

図2:BCPが想定しているリスク(N=165、複数回答)


図3:BCPに関心を持ったきっかけ(N=165、複数回答)
※BCP策定済み、策定中、策定に関心がある企業から回答

図3:BCPに関心を持ったきっかけ(N=165、複数回答)


図4:重複業務の絞込みや復旧日数の設定の考え方(N=110、複数回答)
※BCP策定済み、策定中の企業から回答

図4:重複業務の絞込みや復旧日数の設定の考え方(N=110、複数回答)


図4ですべての項目にYESと回答した企業の割合

図4ですべての項目にYESと回答した企業の割合


図5:ハードに関する対策(N=110)
※BCP策定済み、策定中の企業から回答

図5:ハードに関する対策(N=110)


図6:ソフト対策(人員)に関する対策(N=110)
※BCP策定済み、策定中の企業から回答

図6:ソフト対策(人員)に関する対策(N=110)

図7:BCPの策定に着手する時期(N=55)
※策定に予定や関心がある企業から回答

図7:BCPの策定に着手する時期(N=55)


図8:BCP策定に向けた課題(N=55、複数回答)

※策定に予定や関心がある企業から回答
図8:BCP策定に向けた課題(N=55)


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