NEWS RELEASE
無線ブロードバンドサービス、2008年には2150万端末の需要満たせず
〜1.9/2/2.5GHz帯へのWiMAX導入や次世代PHSの開発が急務〜

2005年7月26日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)はこのほど、国内の無線ブロードバンドサービス市場動向について分析を行いました。その結果、需要拡大とサービス供給のための電波帯域不足などによって、2008年時点で約2150万端末の需要を満たせない可能性があるとの評価に達しました。

 NRIが、無線ブロードバンドサービス対応端末のカテゴリー別に需要の推移を予測したところ、2008年には、(1)パソコン系モバイル(ノートパソコン、PDAなど主に汎用的なデータ通信向け)で約770万端末、(2)エンターテインメント等専用系モバイル(携帯AVプレーヤー、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、パーソナルセキュリティ端末など)で約680万端末、(3)宅内無線接続(家庭内利用のパソコンや、デジタルビデオレコーダー、ゲーム機、大型テレビなどの情報家電)で約700万端末の需要が見込まれることが分かりました。


● 無線ブロードバンドサービス対応端末の需要予測 (単位:百万端末)
端末のカテゴリー 06年 07年 08年
パソコン系モバイル 1.8 4.2 7.7
エンターテインメント等専用系モバイル 1.2 3.8 6.8
宅内無線接続 0.3 4.5 7.0
合計 3.3 12.5 21.5
(注) 予測値は、各端末の出荷台数や市場での稼働台数に対して、無線ブロードバンドサービスの導入比率を予測して乗じたもの。ノートパソコン等の無線LANからの拡張利用台数や、エンターテインメント等専用端末で当初から無線機能が一体化されているものの台数も含む。


 2004年度から、移動体通信事業者等の企業が、サービス強化のための電波帯域の獲得をめぐり、活発に動いています。しかし、現在の電波帯域は、都心部を中心に既存の携帯電話向けサービスなどですでに飽和しています。このままでは、今後発生する無線ブロードバンドサービス対応端末の需要に全く対応できない可能性があります。

 そのような状況の中、利用できる電波帯域を広げることは、無線ブロードバンドサービスの質の向上、ひいては潜在需要の充足につながります。NRIでは、現在2.5GHz超の帯域で主に検討されているWiMAX(固定無線通信の標準規格)の利用を、より広範囲で経済性の高いシステム構築が期待できる1.9/2/2.5GHz帯まで引き下げ、高速な次世代PHSの開発も含めた形で商用化・実用化することを検討する必要があると考えています。

 その背景には、以下の3つのニーズがあります。

(1) 高速サービスや定額・常時接続へのニーズ増大
  無線ブロードバンドサービスは、有線ブロードバンドサービスに比べ、供給やコスト当たりサービスの改善が遅れています。第三世代携帯電話の更なる拡張などで、当該需要への対応は進みますが、高速サービス(20Mbps超)や定額・常時接続を重視する顧客ニーズに対応するためには、無線LANやWiMAXといった常時接続、インターネット技術を利用したシステムが求められます。
(2) 諸外国との整合性・互換性へのニーズ増大
  諸外国でのWiMAXの商用化動向を見ると、韓国では2006年に2.3GHz帯で、米国では05年から一部地域を皮切りに主に2.5GHz帯での導入が予定されています。一方、日本では06年から3GHz超は順次商用化する予定ですが、2.5GHz帯については未定です。WiMAXを対象とした無線通信技術の世界的なハーモナイゼーション(整合性・互換性)に取り組む必要があります。
(3) PHSサービスの高度化へのニーズ増大
  既存の利用者基盤がある1.9GHz帯のPHSサービスも、WiMAX等とのハーモナイゼーションを進め、高度化・高速化を図ることで、日本独自の通信市場の活性化が実現できると考えられます。


 これらのニーズに対応するため、WiMAX関連技術を1.9GHz(PHS向け)や2GHz(時分割複信(注1)向け)など使い勝手の良い帯域へ先行的に導入し、PHSの次世代化などと組み合わせることが、日本市場の需要充足だけでなく、世界市場とのハーモナイゼーションと日本の独自性確立に有効だと考えられます。NRIでは、今後も無線ブロードバンド市場の動向に着目し、日本の通信市場、企業の活性化と競争力強化を支援していきます。

(注1) 時分割複信(Time Division Duplex):無線通信などで同時送受信を実現する方式の一つで、通信経路を時間軸で細かく区分し、送信と受信を高速に切り替える手法。




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