株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)はこのほど、中国IT市場主要7分野(携帯電話端末、携帯電話サービス、モバイルコンテンツ、PC、サーバ、ストレージ、ITサービス)の動向把握と、日本市場との比較を行いました。その結果、2005年には携帯電話端末分野で、2006年にはPC分野で、さらに2010年までにはサーバ、ストレージ、携帯コンテンツ分野において、中国市場が数量規模に続いて金額規模でも日本市場を追い抜く可能性が高いことが分かりました。
数量面に加え、金額面でも追い抜く
携帯電話端末、PCの分野では、中国市場がそれぞれ2001年、2002年に数量面で日本市場を超えて以降、金額面でも追いつき追い越しつつある状況が明らかになりました(図1、2)。また、モバイルコンテンツ分野の金額市場も拡大を続け、2010年には日本市場を凌駕する可能性が高いと考えられます(図3)。
ストレージ、サーバなどの情報システム関連ハードウェア分野も、それぞれ2006年、2008年頃に日本市場を金額面で追い抜くと予想されます。主にインターネットの普及に支えられるストレージ市場は、2004年以降、若干成長率は鈍化するものの、利用者ベースは2010年で日本の4倍近くになることから、需要も旺盛であると見込まれます。
一方、機器単価、利用者単価等に着目すると、日本市場の単価水準は中国市場の約1.5〜10倍であり、依然として市場の価格水準では大きな差異が残っているようです。
ITサービス分野は日本の1/10程度
情報システム開発(システムインテグレーションを含む)やソリューションといったITサービス分野では、顕在化した市場規模は日本の1/10程度に留まっています。これは、SE等の人件費コスト水準が低いことや、情報システム分野が企業内製主体のためITサービス市場そのものが未成熟であることを反映していると考えられます。中国の情報システム支出の内訳に着目すると、ハードウェアが60%近くを占めており、ソフト・サービス支出の比率が、日本と比較して低い点が特徴的です(図4)。ただし、内製分野を含めると、ITサービスの潜在需要規模は、日本の1/3〜1/4程度とも推測されており、今後の成長余地は極めて大きいと考えられます。
3000億円超のオフショア開発分野がITサービス市場を牽引
中国の海外向けシステム開発(いわゆるオフショア開発)分野の市場規模はすでに3000億円を超えており、中国のITサービス市場全体の10%近くを占めています。オフショア開発は、ITサービス市場の牽引役の一つとなっていると言えるでしょう。
この分野は単なる市場セグメントの一つではなく、日本のITサービス市場と密接に関連している点も注目されます。すでに日本市場向け単体でも、開発・運用の合計で1500億円近いと推定されており、これは日本のソフトウェアやアプリケーション開発・運用市場の約1.5%に相当します。さらに2008年には約5%にまで拡大すると予測されています(図5)。SEやプログラマ数も、2005年には日本市場向け従事者が6万人近い規模に達すると推測されており、日本市場のIT技術者(注1)の10%に相当する可能性があります。
中国IT市場の動向は日本のIT業界のみならず、産業界全体にとっても極めて関連が深く重要なものとなっています。NRIでは今後もこの重要な中国IT市場を継続してウォッチし分析していきます。

