NEWS RELEASE
BtoC EC分野が5.5兆円、ネットオークション分野が2.1兆円市場に拡大
〜2009年までの国内IT主要市場の規模とトレンドを展望(2)〜

2005年1月14日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)は、2009年までの国内IT主要7市場の市場分析および市場規模予測を行いました。前回の携帯電話市場、ブロードバンド市場に続く第二弾として、今回は、eビジネス・ライフ、放送、プラットフォーム、セキュリティ、ハードの09年までの各市場規模予測結果を発表します(各分野の定義は参考資料)。


● 各IT市場の予測
(単位:億円)
市場・分野   2004年度 2005年度 2009年度
eビジネス・ライフ市場 インターネット広告 1,730 2,180 3,170
BtoC EC 28,800 35,600 55,100
ネットオークション(注1) 10,800 13,400 20,800
オンラインゲーム 770 1,070 2,000
電子書籍 40 90 410
音楽配信 80 190 880
映像配信 240 450 1,890
eラーニング 810 1,110 1,660
放送市場 地上デジタル放送 741 2,122 18,128
衛星デジタル放送(BS、CS) 3,311 3,932 6,653
ケーブルテレビ 2,068 2,245 2,667
プラットフォーム市場 電子認証 227 277 636
課金・決済 1,244 1,487 1,996
ICカード 338 419 391
RFID 149 193 1,022
セキュリティ市場 ウイルス対策(注2) 641 739 997
不正アクセス防止製品 291 318 305
電磁波問題対策 12 23 155
バイオメトリクス認証機器 107 145 181

(注1) 予測値は、ネットオークション取引市場のみで、手数料市場は含まない。
(注2) 予測値は、企業向け市場とコンシューマー向け市場の合計。



市場・分野   2004年度 2005年度 2009年度
ハード市場(注3) デジタル情報家電(単位:千台) 7,910 9,684 14,635
パソコン(単位:千台) 11,584 11,931 13,800
携帯電話端末(単位:千台) 46,700 48,000 42,400
デジタルカメラ(単位:千台) 8,000 9,100 8,900
車載情報端末(単位:億円) 2,974 3,199 3,042
フラットパネルディスプレイ (単位:十億円) 5,596 6,963 11,360

(注3) 予測値は、デジタル情報家電およびパソコンは出荷台数、携帯電話端末およびデジタルカメラは需要台数。フラットパネルディスプレイは世界市場規模予測。



 eビジネス・ライフ市場では、BtoC ECやネットオークションなど実物を取引する市場が生活基盤として定着し、今後も堅調に成長すると思われます。その結果、2009年にはBtoC EC分野が5.5兆円、ネットオークション分野が2.1兆円まで市場拡大します。

 放送市場においては、地上、BS、CSが受信できる薄型3波テレビへの買い替え促進に後押しされ、地上デジタル放送・BSデジタル放送ともに順調な成長が期待できます。2009年度末に、地上デジタル放送の視聴世帯は3,791万世帯、BSデジタル放送は3,167万世帯の普及が見込まれます。これらを合わせたデジタル放送市場規模は約2,2兆円に達する見込みです。ただし、06年以降、どのようにしてあまねく世帯に地上デジタル放送波を届けるかは不透明であり、現行の地上波放送を11年7月までに地上デジタル放送へ移行完了する計画は困難と予測されます。

 プラットフォーム市場の中で、2010年までに急速に成長するのが、ICカード分野とRFID分野。ICカード分野は、クレジットカードを中心に今後流通枚数が大きく拡大し、09年度には4.6億枚に達すると予測します。ただし金額で見た市場規模は、普及とともに単価が下がるため、新たな用途が広がらなければ、今後数年でピークを迎える可能性があります。
 RFID分野は、04年から06年度にかけて導入への制約要因を緩和する可能性のあるイベントがいくつか予定されており、07年度前後からRFID関連市場は急激に成長し、09年度には注目4業種(運輸、小売り、総合アパレル、製造)だけでも約1,000億円を超えると予測されます。

 セキュリティ市場で今後拡大が予想される分野は、電磁波問題対策とバイオメトリクスの2分野が挙げられます。電磁波問題対策分野は、2009年には約160億円市場に達すると推計。特に盗聴とテンペスト対策は、今後大幅に市場拡大する見込みです。バイオメトリクス認証機器分野は、07年度に180億円程度の市場規模に拡大すると予想しており、市場動向は電子パスポート、金融機関のATM、自治体の住民基本台帳ネットワークシステムへの採用がカギを握ると考えています。

 携帯電話やデジタル情報家電の普及によって、ここ数年急激な成長を見せたハード市場は、2009年にかけては世界的な競争激化の中、多くの機器分野で成長の壁を感じることも考えられます。デジタル情報家電分野についても同様です。当面は力強い成長を続け、07年頃にはデジタル情報家電のネットワーク機能搭載率が半数を超え、生活家電のデジタル化も進展しますが、製品のライフサイクルが従来の家電よりも短いため、09年にかけて急激に成長が鈍化すると予測されます。

 今回のIT市場予測は、2000年、01年、03年に次いで4回目。IT市場を取り巻く環境変化はめまぐるしく、技術革新による新しいサービスやプレイヤーの出現によって、市場予測の前提条件が変わってしまいます。そのため、NRIでは予測の改訂作業を適宣進めています。



【お問い合わせ先】
野村総合研究所 広報部 瀬戸、野村 TEL:03-6660-8370 E-mail:kouhou@nri.co.jp


(参考資料)

デジタル情報家電市場規模予測−新しい家電製品への買い替えが成長の主要因であり、台数ベースで見た市場の上限値は、ほぼ従来の主要家電製品の保有台数と見合う。

デジタル情報家電市場規模予測



国内で利用されるICカード枚数の予測−09年度には4.6億枚に達すると予測。なお、単年での発行枚数は、06年にかけて急速に拡大していくが、新たなアプリケーションが見出されなければ、06から07年に飽和し、その後横ばいに転じる。

国内で利用されるICカード枚数の予測



電磁波問題対策市場規模予測−04年時点での市場規模は約12億円と小さいが、近い将来、テンペストによるセキュリティ侵害の発生がより現実的なものとなり、市場が急速に立ち上がる。

電磁波問題対策市場規模予測





(各分野の定義)

●eビジネス・ライフ市場
インターネット広告 Webサイトおよび携帯情報端末向けサイトなどでの広告掲載および電子メールによる広告配信など、インターネットを介した広告の掲載費による市場。サイトの制作費は含めない。
BtoC EC 広義のインターネットを経由した一般コンシューマー向けの販売額による市場。出張費など法人消費分は含まれない。携帯電話などモバイル機器を利用した販売額は含まれる。だたし、自動車や不動産などで見られる、インターネットを介しての見積もりや各種申し込みのように、最終購入意思決定や契約がネットによって完結しないものは市場規模の計算に含まれない。また、オンライントレード市場、オンラインバンキング市場、およびデジタルコンテンツ市場(音楽、映像、eラーニング)も含まれない。
ネットオークション ネットオークション取引市場は、個人同士の取引を仲介する事業者のサイトで行われる取引の総額。楽天フリマの一撃落札など固定価格での取引も含む。
オンラインゲーム 日本国内で、携帯型を含む家庭用ゲーム機、および携帯電話を利用して行う、ネットワークを介したゲームサービスの売上を、オンラインゲームの市場とする。ただし、家庭用ゲーム機やパソコンなどのハードウェアに、ゲームソフト自体をダウンロードして利用するオンラインゲームの市場は、対象から除外している。
電子書籍 従来、紙媒体で販売されていた書籍、雑誌などを電子データで有料配信するサービスの市場。
音楽配信 インターネットに接続されたパソコンやオーディオ機器、携帯電話・PHSなどを経由して、ユーザーが対価を支払って音楽コンテンツをダウンロードする市場を対象とする。
映像配信 映画作品やライブ映像などの映像コンテンツのインターネットやモバイルネットワークを通じた配信サービスの市場と定義。これは主に、エンドユーザーが映像配信サービスに対し支払う金額と、スポンサーとなる企業が映像配信メディアに対して支払う広告・宣伝・販促費用からなる。
eラーニング インターネットやイントラネットを利用して行う教育システムであるWBTを対象とする。市場規模としては、そこで利用される教育コンテンツやサービスを対象とし、システムの構築・運用・メンテナンス市場は含めない。



●放送市場
地上デジタル放送 当該放送事業者の「広告収入」およびNHK受信料を市場ととらえる。ただし、余剰周波数帯を利用した1セグメント放送は含まない。
衛星デジタル放送 BSデジタル放送市場は、受信料(NHKの場合)、視聴料金(民放の有料事業者の場合)から構成される。CSデジタル放送市場は、視聴者からの視聴料収入(初期加入料金、月額基本料金、月額有料番組視聴料金、PPV視聴料金)、広告収入(主として委託放送事業者)から構成される。
ケーブルテレビ 初期加入料金、有料番組視聴料金(パッケージおよび個別選択)、広告料、ホームターミナルのレンタル料金などで構成される。なお、ケーブルテレビシステムのデジタル化後には、PPVやVOD、双方向サービスなどからの収益が新たに発生することが期待されるが、今回はその市場は含まない。また、難視聴解消対策による収入やケーブルインターネット市場は含まない。



●プラットフォーム市場
電子認証 ユーザーやサーバーを電子的に認証するシステムおよび証明書の発行・管理などのサービスの市場。認証方法としては、公開鍵暗号技術を用いた証明書のほか、一時的に利用可能なパスワードを、利用の都度、生成して使うワンタイムパスワードなどを含む。システム構築市場としては、認証機能に関連する開発およびソフトウェアのみとし、認証機能を使ったシステム全体の市場は含んでいない。また、IDを格納・保管するためのICカード費用は含まれない。
課金・決済 企業対個人(BtoC)での電子商取引における課金・決済と定義する。インターネットなどで商品などの購入が行われる際に、本来第三者である決済期間が、手数料などのかたちで取得する金額の合計である。
ICカード 日本に普及しているICカード本体を対象とし、携帯電話内蔵のFeliCaは除く。
RFID 形状を、利用の目的に合わせて使い分ける“RFIDタグ”に関連する市場についてのみ言及し、非接触ICカードは含まない。2.45GHz、13.56MHz、500KHzの周波数帯および今後、周波数帯の解禁が期待されるUHF帯のRFIDタグを対象とする。
市場規模は、RFIDタグ、リーダー/ライターなどのハードウェアに関連する市場周辺のソフトウェア、および付随するカスタマイズなどのSI業務をすべて含んだシステム価格の合算値として算出する。



●セキュリティ市場
ウイルス対策

コンピュータがウイルスに感染しているかを検知し、駆除するソフトウェアの市場。コンシューマー向け市場はパソコンにインストールして利用するソフトウェアやライセンス更新料の市場である。企業向け市場は、メールサーバーなどのゲートウェイにおいて利用されるウイルス対策ソフトウェアや、各種サーバーやデスクトップパソコンで利用されるソフトウェア、ならびにそれらのライセンス更新料の市場である。

不正アクセス防止製品 今回は、外部からの不正アクセスを防ぐことを主目的としているアプライアンス製品を市場規模算出対象としている。不正アクセス防止製品には、ファイアウォールの機能だけを持つ製品であれば、市場規模算出対象とする。
電磁波問題対策 ここでは、電磁波問題対策市場を「侵入電磁波」、「無線LAN情報の漏洩」、「盗聴」、「テンペスト」という4つの問題対策市場の総和として定義している。テンペストは「パソコンのディスプレイなどから漏洩する微弱な電磁波から情報を不正に取得する方法」と定義する。
バイオメトリクス認証機器 指紋や顔などのさまざまな身体的特徴を用いて本人認証を行う認証用のデバイスやモジュールの市場と定義する。本予測では、指紋、顔、静脈、目の虹彩の4つの身体的特徴を用いた認証機器市場を取り上げる。



●ハード市場
デジタル情報家電 国内における、デジタルビデオレコーダー、生活家電(いわゆる白物)、ゲーム機、ホームネットワーク関連機器などからなる、家電機器の市場。ここで取り上げるのは、家電製品の中でもデジタル技術(特に高度な情報処理やネットワーク)を導入し、住居内とその周辺で利用される機器類である。
パソコン デスクトップ型、ノート型、サーバー型を含む市場と定義する。台数ベースの市場は、日本国内向けに出荷されたパソコンを指す。
携帯電話端末 日本国内で出荷される携帯電話端末の市場。NTTドコモ、KDDI、Vodafoneから提供されるPDC、cdmaOne(1x EV-DO含む)、W-CDMAの携帯電話端末を指す。無線LANやPHSは除外する。
車載情報端末 国内におけるカーナビゲーションシステム端末、およびその付属モジュールの出荷額とした。社債盗難防止装置、ETC車載機など、ナビゲーションシステムとは独立した専用端末や、電子地図の更新、および施設案内などの情報サービスの利用料などは含まれていない。
デジタルカメラ 静止画の撮影を主目的とするものをデジタルカメラと定義するが、音楽再生機能や動画撮影機能が付属しているものも、デジタルカメラに含める。
フラットパネルディスプレイ 液晶、PDP、有機ELおよびその他のフラットパネルディスプレイを含む。




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