NEWS RELEASE
2008年までのIT主要分野の市場規模とトレンドを展望(1)
〜ブロードバンド市場、通信市場、放送市場の予測を公表〜

2003年10月29日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)は、2008年までの情報通信主要31分野の市場分析および市場規模予測をしました。第一弾として今回は、ブロードバンド市場4分野、通信市場4分野、放送市場4分野の08年までの市場規模を発表。今後、プラットフォーム市場7分野、eビジネス市場2分野、デジタルコンテンツ市場6分野、ハード市場4分野を、順次公表していく予定です。

 NRIは2000年12月と01年10月に同様のIT市場予測を発表しました。しかし、IT市場を取り巻く環境変化はめまぐるしく、技術革新による新しいサービスやプレイヤーの出現によって、市場予測のための前提条件が変わってしまうことも珍しくありません。NRIでは予測の改訂作業を適宣進めています。

● 各IT市場の予測
(単位:億円)
市場   2002年度(推) 2003年度(予)
(注1)
2008年度
(予)
CAGR (注2)
ブロードバンド
市場
DSL 1,752 2,824 3,064 9.8%
FTTH 127 453 3,593 74.6%
ケーブルインターネット 1,114 1,354 1,157 0.6%
公衆無線LAN 0 10 430 112.2%
小計 2,993 4,641 8,244 18.4%
通信市場 広域イーサネット 540 1,150 6,052 49.6%
従来型専用線サービス 10,368 9,000 5,618 -9.7%
IP-VPN 1,093 2,159 4,642 27.3%
携帯電話(ケース1)(注3) 66,581 69,629 76,265 2.3%
小計 78,582 81,938 92,577 2.8%
放送市場 BSデジタル 611 927 3,514 33.9%
CSデジタル 1,810 2,059 3,376 11.0%
ケーブルテレビ 1,699 1,883 2,152 4.0%
地上デジタル 0 217 11,801 122.4%
小計 4,120 5,086 20,843 31.0%
(注1)2002年度はNRIの推計による実績値。2003年度以降の数値は、NRIの推計による予測値。
(注2)CAGR (Compounded Annual Growth Rate 、年平均成長率)は2002〜08年の7年間、ただし公衆無線LAN市場は02年の市場規模が0のため03年以降の、年平均成長率をそれぞれ示す。
(注3)ケース1は各社のARPUが2003年度から徐々に下げ止まるケース。


当リリースでご紹介した内容は、12月1日に東洋経済新報社から発行予定の単行本『これから情報・通信市場で何が起こるのか −IT市場ナビゲーター2004年版−』に収録しています。

【お問い合わせ先】
NRI野村総合研究所 広報部 井筒、瀬戸
TEL:03-6660-8370
E-mail:kouhou@nri.co.jp


(ご参考)
以下に、第一弾のトピックスをいくつかご紹介します。

●ブロードバンド市場 − FTTH市場が拡大
ここ1、2年のブロードバンド市場を牽引してきたDSL市場やケーブルインターネット市場は、2004〜05年をピークにマイナス成長に転じるとみている。かわって拡大するのがFTTH市場である。

国内家庭向けブロードバンド加入者世帯数予測>
国内家庭向けブロードバンド加入者世帯数予測


● 国内家庭向けブロードバンド加入者世帯数字予測
(単位:千世帯)
加入世帯数 2003年度末 2008年度末
DSL 9,369 9,890
FTTH 766 5,899
FTTB+α 556 2,897
ケーブルインターネット 2,331 2,379


●通信市場 −携帯電話市場の成長は鈍化
 専用線市場については、従来型の専用線は既にマイナス成長に転じており、かわって広域イーサネット、IP-VPNの市場が拡大する。携帯電話市場は現在、既に7兆円近い市場であるが、成長は鈍化するとみられる。

専用線市場予測
専用線市場予測


携帯電話契約数の推移と予測
携帯電話契約数の推移と予測


●放送市場 −ケーブルテレビは成長鈍化、BSデジタル放送が成長
 ケーブルテレビ、CSデジタル放送市場の成長が鈍化する一方、BSデジタル放送が広告媒体として認知され始め市場が伸びる。2003年12月の地上デジタル放送開始によって、地上デジタル放送市場が出現する。地上波放送はもともと放送市場で最も大きなセグメントだけに、普及につれてデジタル放送市場の中でも際立つ市場規模となる。

デジタル放送市場規模予測
(ケーブルテレビはアナログ含む)
デジタル放送市場規模予測


<市場の定義>
●ブロードバンド市場
DSL 既存の電話線を用いて高速データ通信を実現する技術の総称がDSL(Digital Subscriber Line)である。家庭向けにサービス提供されている技術のほとんどがADSL(Asymmetric DSL)。2003年10月現在、家庭からインターネットへ向かう上り速度は1Mbps前後、インターネットから家庭へ向かう下り速度は最大で26Mbpsのサービスが提供されている。
今回の市場予測では、家庭向けに提供されるADSLによる接続市場を対象としている。企業向けに提供される上下の速度が対称であるSDSLや、集合住宅まで光ファイバーを用いて集合住宅内だけで提供されるVDSL(Very high-bit-rate DSL)のサービスなどは含まないものとする。
FTTH ここでは、企業向けの接続サービスは対象としておらず、家庭向けの光ファイバーによるブロードバンド接続市場を対象としている。戸建住宅に対しては直接光ファイバーが屋内まで引き込まれる。一方で、集合住宅においては、建物までは光ファイバーを直接引き込むが、集合住宅内の各戸まで光ファイバーを引き込むケースはまれである。電話線を用いるVDSL技術により新規配線をすることなくサービスを提供するか、新規配線としてイーサネットケーブルを敷設するケースがほとんどである。
今回の市場予測においては、家庭まで直接光ファイバーが引き込まれている市場を狭義のFTTH(Fiber to the home)市場とし、集合住宅に対しての光ファイバーと別技術を組み合わせた市場をFTTB(Fiber to the building)+αと定義している。
ケーブル
インターネット
光ファイバーおよび同軸ケーブルを用いた有線TV放送配信システムがケーブルテレビ(CATV)であり、そのCATVネットワークを用いて提供されるインターネット接続サービスを総称してケーブルインターネットという。戸建住宅に対しては直接同軸ケーブルを引き込むが、集合住宅に対しては、戸建住宅と同様に直接同軸ケーブルを引き込むケースと、建物内の回線として電話線や無線を用いるケースが存在する。
今回の市場予測においては、国内のCATV事業者による戸建・集合住宅を含んだ家庭向けのブロードバンド接続サービス市場を対象としている。企業向けの専用線接続サービスや、CATV事業者が保有する回線を利用して他事業者が集合住宅に対してサービスを提供するケースなどは対象としていない。
公衆無線LAN 公衆無線LAN市場は、恒常的なサービス利用者からの月額利用料金、およびテンポラリー利用時の日額・従量制による利用料金の総額としている。なお、市場規模予測にはISP料金は含めていない。

●通信市場
広域イーサネット、従来型専用線サービス 従来の主力サービスである高速デジタル専用線、ATM専用線に加えて、広域イーサネット型サービスを含める(IP-VPNは別扱い)。ダークファイバー、波長貸しなどのサービスについては対象から除外する。
IP-VPN 通信サービス事業者によるIP-VPNを対象。ISP接続上での利用者によるVPNサービス、いわゆるインターネットVPNは除いている。利用が一般化していない移動体通信ベースのサービスも除く。
携帯電話(ケース1) 【契約数】
携帯電話事業者4社(NTTドコモ、au、ボーダフォン、およびTuka)の契約数(回線数)でPHSは含めない。人間が持ち歩くタイプ(携帯電話端末およびカード型端末)を対象とし、自動車や自動販売機などの機械に埋め込まれるモジュールタイプは含めない(厳密には、2002年度末時点において、既にモジュールタイプが数十万契約含まれているが、これは無視する)。
方式については、cdma2000 1x、1x EV-DO、W-CDMAを3Gとする。EV-DV、HSPDA、および4Gについては、正式にサービス開始時期がアナウンスされていないため考慮にいれない。PDCとW-CDMAのデュアルはそれぞれ1契約とするが、1xとEV-DOのデュアルは1xの内数とする。
インターネット対応は、iモードとEZwebについては契約数、Vodafone live!については対応端末稼働数。
【市場規模】
携帯電話事業者4社(NTTドコモ、au、ボーダフォンおよびTuka)の総収入のうち、電気通信事業収入の合計。携帯電話端末代金など付帯事業収入は含んでいない。1契約あたりの平均収入(ARPU)予測値に期中の予測契約数を乗じて算出している。ケース1は各社のARPUが2003年度から徐々に下げ止まるケース。

●放送市場
BSデジタル BSデジタル放送市場は、次の項目から構成される。
・広告料収入
・受信料金・視聴料金(NHK、民放の有料事業者の場合)
なお、将来的には電子商取引などからの手数料収入も考えられるが、今回の予測では除いている。
CSデジタル 市場規模予測にあたっては、視聴者からの視聴料収入と広告収入を対象とする。なお、CSデジタル放送の委託放送事業者はケーブルテレビにも番組を配信しており、CSデジタル放送とケーブルテレビの合計の視聴者を対象に広告費は支払われるが、ここではそのうちのCSデジタル放送分を計上する。
ケーブルテレビ ケーブルテレビの有料放送サービスの契約者からの視聴料金と、ケーブルテレビ局と番組供給事業者が得る広告料が対象となる。難視聴解消対策による収入やケーブルインターネット市場は含まない。
地上デジタル 2003年12月以降に開始される地上デジタル放送のビジネスモデルは現行の地上波(アナログ)放送と同様の広告収入ベースとなるため、「広告収入」、およびNHK受信料を対象とする。地上デジタル放送市場は、地上波放送市場を、従来のアナログ放送とデジタル放送それぞれの視聴世帯数の割合で按分したものと定義している。


当リリースに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
Copyright (c)2003 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
Inquiries : webmaster@nri.co.jp