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「震災復興支援プロジェクト」対談(1)

被災地復興、日本再生のためにNRIは何ができるのか

増田 寛也 
NRI 顧問 
元岩手県知事 元総務大臣山田 澤明 
NRI 監査役 
「震災復興支援プロジェクト」リーダー

震災発生からおよそ3カ月近くたち、さまざまな支援活動や、復興に向けた取り組みが動いています。しかし、被災地の復旧・復興はなかなか進んでいません。NRIは震災発生直後に「震災復興支援プロジェクト」を立ち上げ、復興に向けたさまざまな提言や、情報システムを活用した被災者支援ツールなどの提供を行いました。岩手県知事や総務大臣を務め、現在はNRI顧問の増田寛也と、「震災復興支援プロジェクト」のリーダーである山田澤明が、震災からの復興と、これを契機とした日本再生に向けて語ります。

※この対談は2011年6月6日に実施しました。

被災地はいまだ復旧以前 支援のための参画の仕組みが必要

――震災から3カ月がたちます。現在、どのような思いがありますか。

増田被災地を見ると、場所によっては復興どころかまだまだ復旧以前の状態です。避難所で暮らしている人はおよそ10万人、壊れた自宅の片隅で寝起きするなど避難所同様の暮らしを送っている人が3〜4万人。実質13〜14万もが、収入を得る手段もないまま避難生活を強いられています。

山田先日、宮城県の沿岸部に行ってきました。市町村の方は「国は復興構想など長期的なことを言うけれど、われわれは明日どうするかという状況なんだ」とおっしゃっていました。非常に切羽詰っていると感じました。

増田とにかく今急ぐべきは、収入を得られる仕事を被災地につくり出すことです。避難所の炊事・洗濯・掃除など、何でもよいから無理やりにでもつくる。それと仮設住宅です。しかし、ただ仮設住宅を建てるだけではなく、移動手段となる車も一緒に確保しなければ、入居者は身動きがとれません。そこで数万台の車を用意して入居者に貸すようにする。仕事、住まい、移動手段をそろえて、生活をなんとか落ち着かせることが、まずは重要です。

山田現在、さまざまなところで復興に向けた話し合いがされていますが、私自身、支援活動※1にかかわるなかで思うのは、もう少し参画の仕組みを整えられないかということです。支援をしたい、復興の力になりたいと思っている人はたくさんいます。でも、どうかかわってよいのかわからない。国や県、市町村、民間企業、市民などさまざまプレイヤーがいるなかで、それぞれの意見をすりあわせたりニーズを受け止めたりするには、参画の仕組みが欠かせません。今は歯車がかみ合わないまま動いているような気がします。

増田国、あるいは宮城県や岩手県は、復興構想を話し合う会議を設けていますね。こうした会議でも、議論に参加する委員の方たちにその会議で何を議論してほしいか、国や県は明確に示す必要があります。政府や県としてはこんな方針がある、だから会議では特にこの部分についてしっかり議論してほしい、と。行政が意思決定して進めればよい部分と、いろいろな立場の方から幅広く意見を求めて議論する部分とをきちんと整理する。そうすれば、会議に参加する委員も話しやすく、有意義な議論が展開するはずです。それに後者の項目は、案外多くないと思います。

具体的で受け入れられやすい提案を NRIが提案のマッチングをはかる

――NRIは震災発生直後に「震災復興支援プロジェクト」※2を立ち上げて、提言を行うとともに、情報システム技術を活かした被災者支援ツールを提供しました。この活動をどう見ていますか。

増田提言活動を行う団体は数多くありますが、私が行政の立場にあったときは、NRIの提言はいつも注目していました。今回の震災復興についてもさまざまな団体や企業が提言を行うなか、NRIの「震災復興支援プロジェクト」はスタートが早く、スピード感もありました。世の中に素早く発信できたことで、まずは役割を果たせたと思います。

ただ、NRIも含めた多くの団体・企業からの提言が、相手先にどう受け取られるのか、言い換えれば、どこまで具体的で受け入れられやすい提言になっているかが、比較され問われると思います。

山田提言したはよいけれど、実際にどうやって具体化するのか、お金はどこから持ってくるのか、という実施方法の部分ですね。

増田平時の施策と違って特に震災復興に関しては、具体的でなければなりません。それと提言を出すときは、受け止める相手を意識することも重要です。政府が受け止める部分、企業が受け止める部分、一般市民が受け止める部分、とそれぞれあると思います。政府や企業に対しては専門的な内容であってもかまわない。一般市民に対しては、その人々にどう動いてほしいのか考慮して、わかりやすい言葉で伝えていく。そんなふうに、提言を受け止める相手を踏まえた内容になっているかも問われると思います。

山田私が「震災復興支援プロジェクト」に取り組んで実感したのは、われわれの提案に限らず、さまざまなプレイヤーの復興に向けたアイデアを、適所に紹介することもNRIの役割だということです。われわれが提言を行うと、国や地方自治体から意見を求められると同時に「こんな考えもあるのだが」と逆に持ち掛けられることがありました。企業からは「事業と絡めた支援案をどこに提案すればよいのか」と相談を受けました。いろいろなアイデアを持っている人がいても、それを誰に言えばよいのかわからない。適切な提案のチャネルや、ニーズを受け止める場がないと感じます。NRIはすでに多様な提案のチャネルを持っており、どこへどんな提案をすればよいかわかっています。支援をしたい、復興に力を注ぎたいという人たちのアイデアを、われわれが適所にマッチングしていくことも、これからは重要だと思いました。

増田確かに、被災地を助けたい、貢献したいという人はたくさんいます。だからこそ、多くの人や企業が、義援金※3や物資提供によって支援活動を行いました。山田さんがおっしゃったように、多様なチャネルを整備するのはたいへん重要なので、その部分でNRIは役割を果たせると思います。

※1 宮城県の震災復興計画策定の支援
NRIは、宮城県が検討を進めている震災復興計画の策定を全面的に支援している。
※2 「震災復興支援プロジェクト」
被災地復興に向けたNRIの支援活動。3月15日に立ち上げ、NRIグループの強みである「ナビゲーション×ソリューション」をもとに、復興に向けた11の提言と情報システムを活用した3つの被災者支援ツールの提供を行った。
※3 義援金の寄付
NRIおよびNRIグループ社員も総額1億600万円の義援金を寄付しました。
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